2023年
12月8日(金)

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災害時の相互連携確認 盛岡市総合防災訓練 4年ぶりに従来規模で 負傷者救出、救護など

2023-11-20

負傷者を搬送してトリアージを行い、医療につなげる流れを確認

 盛岡市は18日、2023年度市総合防災訓練を同市永井の盛岡南公園(きたぎんボールパーク、いわぎんスタジアム、多目的広場)を会場に実施した。新型コロナウイルスの影響で4年ぶりとなる2千人規模の実施で、盛岡地区広域消防組合消防本部や市消防団、市医師会、県看護協会盛岡支部、自衛隊など45の関係機関、地区住民らが参加。70項目ほどの訓練を通して、災害時の円滑な応急対策活動へ相互連携を確認し、防災への意識を共有した。

 訓練は、盛岡市で最大震度6強を観測する地震による甚大な被害が発生し、前日までの雨の影響で土砂災害も発生したとの想定で実施。市民への伝達の訓練として、午前8時半に、市全域のスマートフォンなどに緊急速報メールで通知した。

 飯岡地域の住民たちは、避難訓練や安否確認訓練で災害時の行動を確認。要配慮者の避難輸送や避難所開設の訓練、防災用品の展示などから、災害時の対応や備えに理解を深めた。


日頃の備えに。多種多様な防災用品の展示、説明も行われた


 多目的広場では、消防や医療従事者らが連携して、災害現場から負傷者を救出して搬送し、医療救護へつなげる一連の訓練を実施。傷病者の緊急度に応じて治療優先度を決めるトリアージも実践した。ドローンによる上空偵察訓練、倒木などの障害物を除去する訓練なども行われた。

 そのほか、上下水道の施設に関する訓練、ペット同行避難所の受け入れ訓練、自衛隊や県生活衛生同業組合中央会による温かい食事の炊き出し訓練など、多様な場面の災害対応を確認した。

 盛岡薬剤師会は、災害時に届く医薬品を仕分けてリスト化し、医師によるスムーズな処方につなげる訓練を実施。今年、バーコードを読み取って自動でリスト化するシステムを同市では初導入したという。


下水道管きょ調査の作業などの説明を受ける内舘市長(右手前)

 同会の佐々木宣好副会長(53)は、システム導入による効率化を実感したといい、「東日本大震災時は、大量に届いた薬の仕分けに苦労した。より多くの薬剤師に体験してもらうことで、災害時はこうした業務もあると知ってもらうことが大切」と語る。

 参加した油田地区自治公民館の佐々木比呂志館長(71)=同市上飯岡=は「避難所運営訓練も部門が多く、単純ではないと感じた。災害に備えて、連絡が密に取れることが大事」と実感を込める。今年度は飯岡地区公民館連合会で防災会を設置し、来年度から避難所運営訓練を行う予定といい、「地域の実情に沿った具体的な訓練をしていけたら」と展望した。

 市総合防災訓練の統監である内舘茂市長は閉会式で、「災害がないことが一番だが、日ごろの備えとして、本日の訓練は大切な時間だった。参加の皆さんには、きょう感じたことを伝えてもらい、安全安心な盛岡をともにつくっていきましょう」と呼び掛けた。



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