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新型コロナ抗体測定容易に セルスペクト 新検査キット6月に製品化

2020-04-25

スティックの仕様を説明する岩渕社長

  盛岡市北飯岡の医療機器開発セルスペクト(岩渕拓也社長、資本金16億3800万円)は、免疫抗体の検出から新型コロナウイルスの有無を調べるエライザ法を用いて、場所を問わず誰でも使用できる検査キット「スキャナーライザーダイア(scanalyser.Dia)」(1台15万円)を発表した。4月に実用化したエライザ法測定キットの臨床結果を照合し、6月に製品化する方針。一般の医療施設に普及すれば、手軽な検査が実現する。

 コロナウイルス感染の判別方法は、ウイルス自体を見つける「PCR法」の他に、感染初期に血中に発生する免疫抗体IgM(免疫グロブリンM)と、中期に発生するIgG(免疫グロブリンG)を検出して感染を見つける「エライザ(ELISA)法」がある。エライザ法に使う試薬や器具は、海外依存度が高く国内自給が少ないことから、同社は4月に、同法による抗体測定キット(96人分、1セット10万円)を開発した。

 今回の製品には、エライザ法を臨床現場用に進化させた「ICA(イムノクロマト)法」を使用。妊娠検査薬に使用されているほど消費者に身近な測定法で、PCR法やエライザ法と異なり、研究職以外の医療従事者でも使用できる。1回の検査費が500円ほどと安価なため、検査の普及が促される。

 測定の仕方は、手のひらサイズのスティックに、1滴の指先血を入れて反応を見る。IgMとIgGが検出されれば、赤色のラインが15分ほどで薬紙に浮き上がる。検査に数時間かかるPCR法やエライザ法に比べ、かなりの時短になる。


簡易測定キット「スキャナーライザーダイア」

 さらに、付属の専用スキャナーでラインを画像処理すれば、陽性か陰性かを正確に判断できる。ラインの太さや色の濃さから免疫抗体の量を数値化する機能を備えているため、感染ステージの把握と適切な治療方針の選択に役立つ。

 この内蔵技術と量産には、同社が所属するヘルスケア産業の産学官金連携組織「TOLIC(トーリック)」内の3社が協力。画像で識別したラインを数値化する技術は、画像処理検査・測定システム開発イグノス(北上市)が手掛け、色や太さの正確な画像処理に必要となる特殊なLED照明を、脳卒中リハビリロボット開発P&Aテクノロジーズ(同)が製造した。製品量産は、小型動力装置製造のアイカムス・ラボ(盛岡市)が担当している。

 世界に流通するICA法の検査器具は、ほぼ全て中国産。3月から中国が器具の輸出をストップしたため、米国や英国、インド、EU諸国から同社に注文が殺到している。

 岩渕社長(41)は「トーリックの力を結集して完成させた製品。検査のハードルが下がることで、迅速な処置と人々の安心につながれば」と期待を込めた。



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