2021年
10月28日(木)

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納得いく表現これからも 高校生万葉短歌バトルで優勝 盛岡三高文芸部 「チームおおとり」の3人

2021-09-08

 次の大会でもより活躍を誓う「チームおおとり」の西沢さん、中牟田さん、本宮さん(左から)

 8月22日にオンラインで開催された第6回高校生万葉短歌バトルin高岡で、盛岡三高文芸部(瀬川仁志部長、部員18人)の2年部員3人で構成する「チームおおとり」が優勝を果たした。メンバーは西沢あづきさん、本宮大貴さん、中牟田琉那さん。全国の高校生と作歌と批評で競い合い、同校として3年連続3回目の本選出場で初の快挙を成し遂げた。

 同大会は、富山県高岡市や同市教委などで構成する実行委の主催。予選を突破した8チームが本選に出場した。

 3人一組で3戦2勝先勝方式のトーナメント戦を戦った。題の言葉を詠み込んだ歌を披露して互いに批評も行い、判者(審判)が歌の内容と批評の仕方などから優劣を決めた。判者は佐佐木幸綱さん(歌人)、小島ゆかりさん(歌人)、坂本信幸さん(高岡市万葉歴史館館長)が務めた。

 盛岡三高文芸部では、部内で選考された3人が出場。西沢さんは「校内で選ばれると思っていなかったので、そこから優勝というすごく高いところに行けてうれしい」と笑顔。

 大会を振り返り、本宮さんは「オンラインということもあり、次々進んでいった感じ。当日の配信を見ていた親戚たちからおめでとうと言ってもらい、ようやく実感がわいてきている」と語る。

 昨年も出場した中牟田さんは「去年の方がいい歌だった。最初は勝てればいいと思っていたけれど、いざ勝ったら勝ち方が気に入らない」と苦笑。納得のいく表現への鍛錬に終わりはない。

 1回戦は「花」、準決勝は「窓」、決勝は「伝える」の題で、それぞれ歌を作った。

 中牟田さんは「花」の題で「非通知で来た長電話終わるまで視界の隅にバラ園がある」と詠んだ。

 花の題で恋の歌を詠むライバルも多いが、「イメージ上の恋愛を詠んで月並みになる歌がすごく嫌い」と断言。下の句で、浮かぶ映像と漂う雰囲気が一気に具体化する。「焦点が合わない、怪しい感じ。全部分かられたくないからぼかすような。それが一番うまくいったのがこの歌かな」と振り返る。

 西沢さんは「窓」の題で「窓から身を乗り出すときにいちめんの夕焼けに抱きしめられている」と詠んだ。

 温かな色彩の浮かぶ歌で、ポイントはひらがな表記にした「いちめんの」。「夕焼けという広い感じと、抱きしめられているという言葉の持つ柔らかさのようなものを、『いちめん』をひらがなにすることで表せたら」と選んだ。

 本宮さんは「伝えない選択肢が積もってゆく春先の雪は少し重たい」と詠んだ。

 「伝えない」の内容をあえて明言しないことで、広く共感できる歌にした。「春先の雪は重いが、あと少しでその雪が解けるという希望を内包している。『伝えない』ということも、いつか伝えられるようになるかもしれない」。しっとりとした空気に、きらめく滴を感じさせる。

 歌を作ると同時に、批評の練習もして大会に臨んだ。西沢さんは「相手の反論を聞いて、即座に判断して的確に答えることができるようになった」と手応えをつかんだ。

 本宮さんは「自分が感じたことで散文に書くのは難しいものでも、短歌や俳句の韻文は思いを託して作品にできる。いろいろな種類の文芸を楽しみつつ、作品に磨きをかけたい」と展望する。

 3人は優勝特典として、25~26日に宮崎市で開催される「みやざき短歌きらり★全国高校生みやざき短歌甲子園」の出場が決まっている。

 中牟田さんは「次の大会は(審査に)別の歌人の先生も加わる。どの方向から見たら認められるかなども研究できたら」と、次なる戦いを見据えた。



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