2022年
8月20日(土)

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亡き娘に導かれシャンソン歌う 盛岡市出身の歌手 伊藤佐知子さん 生きていることかみしめ 15日に県民会館でリサイタル

2022-07-01

 コンサートで思いを込めて歌う伊藤佐知子さん=2019年9月、仙台市民会館(伊藤さん提供)

 盛岡市出身の歌手、伊藤佐知子さん(仙台市)は、コンサート活動10周年を記念し、「ひかり・愛・あなた~シャソソン&映画音楽 そして宮沢賢治の調べとともに~伊藤佐知子リサイタルⅦ」(同実行委員会など主催)を、15日午後6時から盛岡市内丸の県民会館中ホールで開く。2019年に初アルバム「Doux Parfum~愛の予感」を発表。愛娘の「あやちゃん」(文子さん)を脳腫瘍のため2歳8カ月で亡くした経験から、ボランティア活動にも力を入れ、「私を救ってくれた歌と音楽。一緒に笑ったり、癒やされたり、歌を通じて心が一つになれたら」と、6年ぶりの盛岡公演を楽しみにしている。

 伊藤さんは、盛岡白百合学園高合唱部を経て、学習院女子短期大学在学時に学習院輔仁会(ほじんかい)音楽部で、ОBである当時の皇太子殿下(現在の天皇陛下)と共演。東京シャンソンコンクール準グランプリなど全国コンクールで入賞している。

 盛岡でのリサイタルは16年以来3回目。第1部では「シェルブールの雨傘」「ジュ・トゥ・ヴ」などシャンソン、映画音楽などの名曲をチェロ、朗読、コーラスを織り交ぜて披露。仙台フィルハーモニー管弦楽団チェロ奏者の山本純さん、元東北放送アナウンス部の太田伸子さん(朗読)とともに、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を上演する。

 第2部は、ゲストに盛岡市在住のシャンソン歌手、ささき絢子さんを迎えるほか、伊藤さんが文子さんを思って作詞作曲した「出逢うために」を合唱曲に書き直し、盛岡白百合学園高合唱部と歌う。ピアノは内山誠さん。

 シャンソンを中心にした音楽活動について「娘が生きていたらやりたかったことを代わりにしているような気がする」と伊藤さん。

 入院加療中、脳腫瘍のさまざまな症状が出て苦しむ文子さんを見て、「屋上から飛び降りたら楽になるのではないか」と試みようとしたこともあった。そのたびに、病室の隣のベッドの目の不自由な患者に何度も引き留められた。「その人のお陰で過ちを犯さずに済み、いま私も生きている」

 娘が導いてくれたこととして、「せんだいメディアテーク」で目の不自由な人への朗読ボランティアを始めた。仙台グリーフケア研究所「分かち合いの会」を通じて、東日本大震災などで大切な人を亡くした人たちを仙台のコンサートに招待している。

 久しく離れていた音楽を再開したのも、幼い文子さんが、歌が大好きだったから。手をつないで一緒に歌った帰り道など、文子さんとの思い出にはいつも歌があった。

 自分自身も音楽で少しずつ癒やされていく中、音楽教室で「シャンソン教室 生徒募集」の文字を見たのがシャンソンを歌う入り口に。レッスンを受けて、その奥深い世界にのめり込んだ。

 伊藤さんの透明感あふれる歌声は、「シルキーボイス」と例えられることも。「心のビタミンと言ってくださる方も。皆さんに楽しんでいただくことで、岩手への恩返しになれば」と思いを込める。

 アルバム「Doux Parfum」には「I could have danced all night」「星めぐりの歌」、伊藤さんが作詞作曲した「やくそく~会いたくて」など12曲を収録。税込み3千円。売り上げの一部を、小児がんの子どもたち支援の一助として、日本小児神経外科学会、がんの子供を守る会に寄付する。

 「伊藤佐知子リサイタルⅦ」の入場料は3千円(当日3500円)。問い合わせはコンサート事務局(電話090―5839―7681)、CDの問い合わせは伊藤さん(電話080―1851―1926)へ。



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