|
盛岡市立杜陵小学校(石田紘子校長、児童307人)をこの春卒業したばかりの卒業生49人が29日のみどりの日、ヤマナシの苗木3本を校庭と岩手公園に植樹した。児童らがヤマナシの植樹を希望してからおよそ1年。児童の希望は遠く山梨県まで届いただけでなく本県との縁の深さも明らかにした。
|
|
 |
|
|
【写真】一人ひとり願いごとをしながらヤマナシの苗木に土をかける杜陵小の卒業生
|
|
|
|
|
|
6年生の1学期、宮沢賢治が谷底で暮らすカニの兄弟を描いた童話「やまなし」に触れ感動。「ヤマナシが学校にあったらいいな」。児童会の提案で卒業時の寄贈品にヤマナシの苗木を選んだ。
同校では5年生の総合学習の時間を使い「キッズマート」と呼ばれる販売体験をさせている。児童らは自らが得た益金で苗木を購入しようと考え、ヤマナシを探し始めた。
ヤマナシはバラ科の広葉樹で直径4〜5センチの実をつける。実はすっぱく食用には向かないものの、よい香りを放つのが特徴。春に白い花を咲かせるが、種が地面に落ちても発芽しにくく、自生の苗木を探すのは困難とされ苗木を求める児童らをがっかりさせた。
「名前が同じ山梨県にならヤマナシがあるのでは」。石田校長が知人に呼び掛け探した結果、県の緑化事業の一環として富士吉田市で35本の苗木を育てていることが分かった。事情を知った山梨県は3本の苗木を無償で提供することを決めた。
3月の卒業式には山本栄彦山梨県知事から「ヤマナシのように立派に美しく育っていってほしい」とのメッセージが寄せられた。
贈られた苗木は樹齢3年で高さ約1メートル80センチ。校舎南側と校舎東側にそれぞれ1本ずつ、岩手公園の賢治詩碑近くに1本を植えた。
岩手公園への植樹は山梨県から予定よりも多く木が送られたことを受け、賢治とゆかりの深い同公園への植樹を盛岡市長に要請し実現した。
同日は、中学生となった卒業生48人が参加。「大きくなれよ」「成長してね」と声を掛けながら苗木に土をかけ、成長を願った。
宍戸恵さん(下橋中1年)は「ヤマナシの植樹が実現したのは願いを持ち続けたから。思いがけないところにある出会いを大切にしながらヤマナシと一緒に成長していきたい」と話した。
南部家の先祖が甲斐源氏の一族であること。賢治の盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)時代の親友、保坂嘉内が山梨県韮崎市出身だったなど、賢治と嘉内、南部藩と山梨県と本県との縁の深さも生徒らに驚きを与えた。
山本山梨県知事は児童らに「賢治は嘉内の『山梨の八ヶ岳には風の三郎岳と呼ばれる峰がある』との話をきっかけに風の又三郎を書いたのではないかという説もある」というエピソードを紹介し縁の深さを強調している。
石田校長は「ヤマナシの木の下で自分と木との成長を比べながら大きく成長してほしい。賢治がきっかけとなった山梨県との交流を大切にしていきたい」と話した。
植樹されたヤマナシは5月ころ、白い花を咲かせる。実をつけるまでに数年が必要。キッズマートの益金は看板製作費に充てるという。
|