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春の夜町に立てればそゞろゆくその概ねの若き眉はも
〔現代語訳〕春の夜の街に立つと、これという当てなく歩いているその多くの人は、ああ若い眉の人達だなあ。
〔評釈〕「小判ノート」明治四十一年十月二十三日夕の五十七首中の三首目で、題名は「概ネ」第二句から三句にかけては「街見かへれば行きすぐる」の形も。「そぞろ」は「すずろ(漫ろ)」の母音交代形で「これという確かな根拠も原因も関係のない、とらえ所がない状態。」〔『岩波古語辞典』〕を表す語で「そぞろ歩き(漫歩)」の表現も。「はも」は、終助詞の「は」と「も」から成る連語で、文末の体言について強い詠嘆を表す語。話者の視線の点からは、「街見かへれば行きすぐる」との違いが興味深い。「眉(まゆ)」のような体の一部で人自身を表すのは啄木得意の表現。あの『一握の砂』(361)の「子を負ひて/雪の吹き入る停車場に/われ見送りし妻の眉かな」の「妻の眉」にも通じよう。
(岩手大学教授)
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