2004年 5月 2日 (日)       

■ 〈美術〉人間社会を演じる猫 高野さんが銅版画展〈写真〉 

二猫の酒盛り
【写真】二猫の酒盛り

 東京都在住の高野玲子さんの銅版画展「いつものように、いつもの猫仲間たち」が5日まで、盛岡市菜園1丁目のギャラリー川徳で開かれている。新作約80点が展示されている。

 ほとんどの作品のモチーフはネコ。遊んだり昼寝したりとネコらしいものから、人間のように踊ったり読書をしたり、中には居酒屋で飲んでいる姿も。かわいらしい表情やしぐさの中に、人間の営みが表現されている。

 「ひと休みの猫たち」では台所の換気扇の下に集まって、酒の入ったコップを手にたばこをふかす猫たちの姿を表現。購入したばかりの友人の家に招待されたときに実際に見た光景。「自分もたばこを吸うくせに」などとぶつぶつ言いながら狭い空間にひしめき合うネコの姿がユーモアたっぷりに描かれている。

 ネコがデビューしたのは、銅版画を始めた約25年前。友達と近所の飲み屋をはしごして歩いた次の日に、皆の姿をネコに置き換えて描いたのがきっかけ。飲み屋で悩んでいる様子の男性の姿などが目に入ると、思わず観察。友達からは「また取材しているんでしょ」とすぐに見抜かれるという。

 油彩を専門にしていたが「1本の線が描けるようになりたい」と思い立ち、銅版画を開始。徹底的に線を描くことにこだわった。当初は並行して油彩も手掛けたが、多くの技法を身に付け版画一本に絞った。

 夢にまで出てきたという理想の「1本の線」はまだ実現していない。「年を取ると線も曲がってくるし」と笑う。「焦らないで、怠けずに毎日制作しよう」と思う。

 1989年に初めて宮沢賢治の「どんぐりと山猫」の挿し絵を担当。資料を基に描くこともできたが「岩手に行ってみなければ」と思い、その舞台を探して初めて来県。県内のいろいろな人たちとの交流が深まり、現在まで何度も訪れている。会期中は高野さん自身が会場を訪れている。

 北海道出身。1961年(昭和36年)武蔵野美術大学洋画科卒業。64年から毎年、日本各地で個展を開催。2001年第19回国際児童イラストレーション展示会に出品。03年松谷みよ子「若き日の詩」(童心社)挿絵を出版。東京展会員。日本版画会会員。


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