2004年 5月 2日 (日)       

■  〈わが歳時記〉 高橋爾郎 「5月」

 4月下旬、寒気団が東北地方をすっぽりと覆っていてとても寒い。ストーブをたいて机に向かう。午前中にあられが降ってきた。4月26日朝、起きて見ると4、5センチ雪が積もっていてびっくりする。わが家の山桜は満開だが時ならぬ雪で紅白の風情がまたひときわだ。

 さて5月、陰暦の別称は皐月(さつき)。1日は八十八夜、子供のころ「夏も近づく−」と歌ったものだが、旧暦ではまだ3月13日である。豊橋の友人から自家製の新茶が届く。今年のカレンダーは29日みどりの日、30日(金)、1日(土)以下、憲法記念日、こどもの日と続く。30日に休暇をもらうと一週間、まさにゴールデンウイークだ。かつて鉄道に勤めていた。年末年始、5月の連休、お盆の帰省時は、ぼくらの稼ぎ時で駅員総出でお客さんの案内に大わらわだった。いまでもテレビを見ると当時を思い出して胸が熱くなる。

 ※

 5日は端午の節句だが孫も大きくなり、こいのぼりなどに関心を示さなくなった。ぼくは郷愁を呼ぶように、ひとりでこいを上げる。ついでに景気づけに五月人形を玄関に飾る。凛々(りり)しい金時の顔が実にいい。「おじいちゃんこいのぼりありがとう」気付いてくれた孫の一言がうれしい。元気で成長している証しだと思う。外出の帰りに、へそくりでかしわもちをたくさん買う。

 ※

 付近の農家では種もみの蒔き付けも終わった。小川には雫石川の雪解けの水が、太田の鹿妻堰から流れてきた。用水路にこんこんと盛り上がりあふれるころになると農家も忙しくなる。田んぼに水が張られると田かきの音が交叉(こうさ)して空に響き渡る。夜はそっちもこっちもカエルの大合唱だ。それは草野心平のカエルの「勝手なコーラス」でもある。19匹だが数匹の声を抄出する。

 ◎ぐのかえる=ぐりりあにぐりりあにぐりりあにぐりりあに◎ろのかえる=ろべえるろべえるろべえるろべえる◎かのかえる=かきっくくかきっくくかきっくくかきっくく◎げのかえる=げりんげるげりんげるげりんげるげりんげる(以下省略)

 読者の皆さん声に出してカエルの鳴き声を味わっていただきたい。

 ※

 数日前からわが家に家族が増えた。生後40日のころころと太った子犬である。犬を欲しがる孫娘を1年待たせて、やっと実現した。名前は「風月(ふうづき)」というらしい。飼育の責任者は孫だ。ぼくも犬の勉強をしなくてはと思っている。目がとてもかわいい。

 

 筍の皮脱ぐ音に目覚めをり     竹本 白飛

 わらび採り一郭公の領を出でず   志和 正己

 (北宴同人)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします