2004年 6月 1日 (火)       

■ 簗川ダムの事業費を110億円縮減 盛岡市など利水計画縮小

 県は31日、盛岡市に建設される簗川ダムについて計画を見直す方針を固めた。事業費を110億円縮小する。盛岡市と矢巾町が同日、利水計画の見直しを発表したことを受けてダムの規模を当初計画より小さくするもので、これによって事業費は650億円から540億円に削減される。ダム高は86メートルから83・2メートルに引き下げられる。盛岡市は当初の1日当たり利水計画3万1千立方メートルを4300立方メートルに、矢巾町は5千立方メートルを700立方メートルに大幅カット。紫波町、雫石町、滝沢村、玉山村はダムの水を不要と回答した。事業主体がそれぞれ事業評価委員会に諮って正式に見直しを決める。多目的ダムとしての機能は利水面で大幅に後退するが、治水面では従来通りの必要性を認めて工事を進める。

 増田知事は同日の定例記者会見で「盛岡市と矢巾町の利水量の変更は、利水計画の変更に当然つながる」と述べ、110億円の事業費削減の内訳を示した。利水量の変更に伴いダム高が低下することで約20億円事業費が減る。このほか各種のコスト縮減に努めることで計90億円を削減する。具体的には▽建設発生土受け入れ地の集約化で約16億円▽付け替え林道計画の見直しで約16億円▽付け替え県道、国道の新たな橋りょう方式の採用、トンネル工法見直しにより約38億円▽労務資材単価の低下に伴い約20億円−それぞれ減となる。

 増田知事は「盛岡市の将来の水需給計画縮小を受けた縮小」と述べた。県が従来の利水計画の根拠としていた盛岡広域6市町村の枠組みについては「年度末に盛岡市と矢巾町を除いた残りの4町村、玉山、滝沢、雫石、紫波の4町村の水道事業者に県の考え方、広域での考え方を説明した。県が行った将来予測の視点と考え方には理解いただいたが、現段階では4町村は簗川ダムに水源を求めないで、それぞれの自己の責任で地下に水源を求めるなど自己水源を更新していく方針と聞いている」と、県側の計画撤回について説明した。

 事業費変更の原因については「ダムだから今日ここに至るまでに相当長い期間かかっている。以前の計画を作ったときは右肩上がりの景気で、人口予測もどこの市町村も期待値で出していて安全面を含めて余裕を大きく取ったダム計画だった。利水量についても万が一の大渇水を考えたりした。節水の考え方や生活様式が変わり、大分期間を経てから見直して現実にあった姿に変えた」と述べた。

 簗川ダム不要論に対しては「利水面で見直してきょう盛岡市と矢巾町からも市民町民の生活をはかるうえで利水の関係も必要な水量を確保しなければならないという強い考え方が示された。以前の利水量ほどではないが見直してもかなりの量が必要だ。整備計画もかなり見直したが、多目的ダムとして利水のみならず治水面で必要」と述べた。

■簗川ダム 盛岡市は利水縮小

 盛岡市は、県営簗川ダムからの取水計画を当初の1日当たり3万1千立方メートルから4300立方メートルに縮小する方針を31日に開かれた市議会全員協議会で説明した。利水計画の大幅な縮小により、04年度以降、市の同ダム水源開発負担金の支出はなくなる。

 取水量の見直しに当たり市水道部は、非常時の水量確保の試算基準を「1日最大給水量」から「1日平均給水量」に変更した。この場合、現水源だけでは1日当たり3949立方メートルから5213立方メートルの不足が生じると試算。浄水場でのロス分も含め、簗川ダムから1日当たり4300立方メートルは最低限確保しなければならない水量と判断した。

 同市は03年度までに、同ダム水源開発負担金として約17億2千万円を支出。財政的な厳しさもあり、谷藤裕明市長は利水量を見直した上で、04年度以降の負担金支出を打ち切る方針を示していた。

 県に対して、これまでの負担金で確保できる取水量の試算を求めた上で、非常時に必要な水量を再検討した。

 簗川ダムから1日当たり3万1千立方メートル取水する当初計画では、新規に浄水場の建設が必要だったが、4300立方メートルの取水の場合は、既存の沢田浄水場の軽微な設備の増設で対応が可能という。

 現計画に盛り込まれている御所浄水場の稼働については、浄水場建設や配水管線の建設に多額の費用がかかり、整備が後年度になることが想定されるため、沢田浄水場の増強を先に実施し、今後の水需要拡大に対応していく方針を示した。

 04年度当初予算に盛り込まれた04年度分のダム開発水源負担金約2億2千万円については、計画の最終決定を待って9月市議定例会で減額補正する。


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