2004年 6月 4日 (金)       

■ 〈滝沢村〉熊坂伸子助役のこの1年(下) インタビュー

 ■現在、行政の何に危機感を覚えているのか。

 熊坂 国や地方を考えた場合、このままでいいとは誰も思っていないが、国はまだそのことに気付いていないんじゃないか。地方は気付き始めている。最初に気付いたのは国民だったと思う。不都合なしわよせは住民に来るし、不況の波をかぶるのは住民。

 今地方は住民の声を聞いたり、あるいは自分自身が気付いたりした市町村がかなりあると思う。県にしても一部だがある。身に染みた人、困った順から気付いていく。国が一番遅れている。

 ■1年前から同じ考えのようだが。

 熊坂 地方議会だって住民の代表と言いながら、住民の代表ではないんですね。当事者が住民代表ではないと思っていない。だって社会構成と大きく違っている。それは普通の住民が参加できない仕組みになっている。平日の議会にサラリーマン、子供を持っているお母さんは出られない。選挙制度だって、普通の人ができる選挙ではないです。

 そんな中で本当に住民は代表だって思っていますか。わたしは少なくとも思っていないです。今のままだったら。議会に怒られるかもしれませんが、議会自身が住民代表になる努力をしていない。住民からも議会改革という要望を上げてしかるべきだと思う。

 議会が代表になり得ているなら、そこで国民の意見が反映される。そうではないから意見をくみ取る努力をしなければならない。

 誰でも議会改革とおっしゃるが若い人のいない議会、女性のいない議会はやっぱり自分たちで自分たちを変えるというのは至難の業です。

 ■ボランティアで給料がなく大人数の議会を構成するか、少人数で議会を専門化、職業化させるとしたらどちらが望ましいか。

 熊坂 わたしはボランティア賛成派。ボランティア化してしまったら、うまみはないが、誰でもなれる。意見も言える。夜議会や日曜にあってもいい。どちらかといえば今のままでは給料が高すぎると思う。

 ■行革を唱え、顧客満足を高めると標榜してきた滝沢村だが、保育料の引き上げや補助金助成の見直しなど受益者負担の側面も強くなってきたが。

 熊坂 滝沢村に限らないが、どこでも継続しなければいけないのが大前提。財政再建団体になったら自治なんてできない。限られた資源というのは財政と人材。地域の金と人をどう使うかということを、どこの自治体でも考えないといけない。

 目減りしてきた金だが、地域にはまだ人材がある。その意味で国や県よりも市町村には強みがあると思う。住民とすごく近いし協力も仰げる。

 市町村が協働や参画の方向に進むのは、そういう意味で財政難で必要性に迫られたのが1点、住民自身も自己実現というか政策に反映させる喜びがもちろんあると思う。多様なニーズに行政が対応する能力が限られている。参画とか協働はどこの市町村でも生き残るためには重要なこと。

 今までの行政は、任せていただければやってあげる式だった。観客型の民主主義だったのをプレイヤーになっていただく。一緒に力になっていただくというのが基本的な考え。

 今その目指す方向はあるけれども、住民も職員も、その体制も実力もまだ備わっていないのが現状。そのために行政がやるべきことは、気持ちを一つにするために行政のやりたいこと、やっていることを知っていただく必要があります。

 情報公開のレベルでは駄目。こちらから住民に呼ばれなくても行く。おせっかいでもどんどん地域に入っていく。手の内をさらけ出していく。こちらから情報提供する。それが今までなかったし、やるべきことだと思う。

 それは互いに慣れていないので、いろいろな方法を取らないと、一つでやってうまくいかなくて「やっぱり住民は分からないんだ」という結論を出すのでなく、考えられる方法から攻めていく。

 地域に合った方向、住民たちが受け入れやすい方向というのが見えてくる。その仕掛けを行政がやらなければならない。住民側が教えてもらうのを待っているという状況ではいけない。

 ■協働や参画を実現させる手段は何か。

 熊坂 確かに参画、協働という言葉は素晴らしい。「対等のパートナー」と口では言うが、住民を対等と本当に思っているか。住民に頼むと遅くなる、面倒だと思っているはず。今まで住民とそういう仕事をしてこなかった自治体職員に参画協働の体力がついていないと思う。

 対等ということを心から互いに共有できるまで、手を抜かないでやらないと、押し付けられている感じがするのは互いに不幸。急がないけどあきらめないことが大事だと思います。


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