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岩手大学農学部附属滝沢演習林。スギやコナラが生い茂る広大な森を「岩姫慕情」と呼び、毎週のように訪れる若者がいる。岩手大と県立大の学生らだ。コンパス(方位磁石)と地図を手に森の中を駆ける彼らは、それぞれの大学のオリエンテーリング部(OLC)に所属。2大学は力を競い合いながら、交流を深め合っている。
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【写真】岩姫慕情に目標を書き込む地図づくりに追われる安保寛明県立大OLC顧問
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知名度こそ高いものの体験した人は少ないオリエンテーリング。地図に記された目標(コントロール)を順序よくすべて回り、手元のカードに印をつけながらゴールにたどり着くまでのタイムを競う、立派なスポーツだ。タイムを競うため、競技中は走りっぱなし。地形の高低、建物、障害物。地図を読み取る力がなければ、ゴールにたどり着くこともできない。
毎週のように岩姫慕情で汗を流す県立大OLCだが、その歴史は浅い。県立大OLCは、03年3月に発足。創部から1年が過ぎたばかり。02年4月に同大看護学部に赴任した安保寛明助手(27)=盛岡市出身=が設立を呼びかけ、創部された若い部だ。
安保助手は高校卒業後、上京。東京大学のサークルでオリエンテーリングを始め、その魅力に取りつかれた。「同じ長距離を走るマラソンは、上達するにつれ、自分のペースではなく、ペースに走らされる。オリエンテーリングは、そのペースを自分でコントロールできる」。
大学時代は、週に5日、75分のジョギングをし、持久力を鍛えた。大学4年の全日本リレーではキャプテンとしてアンカーを務め、トップでゴールテープを切った。
大学院へ進学してからも、情熱は衰えない。合同練習をしていた実践女子大のオフィシャルコーチ(監督)を務め、後輩を指導。岩手に赴任してからも、月に数度東京まで、コーチに出向いた。
「自分たちが優勝してから母校は勝てなくなった。インカレ優勝時のキャプテンと呼ばれるうちは、後輩の指導を続けなければ」。
03年3月、愛知県で開かれたインカレで母校が優勝。古里に帰ってきてからも、くすぶり続けていた母校への思いを断ち切り、オフィシャルを引退。すぐに県立大OLC創部へ向け、動きだした。
まったくのゼロからのスタート。力になったのは、県内で唯一のOLCがあった岩手大だった。練習方法、練習場所、技術指導、そしてOLCに欠かせない地図づくり。指導者が一人いるだけの県立大OLCだけでは、乗り越えることのできなかった壁。岩手大OLCは、県立大OLCに協力し、現在2大学OLCは毎週末の合同練習に汗を流している。
安保助手は現役を退き、コースの地図を作る仕事に追われる。「地形を読んで、自分で好きなルートを決めてイメージ。そのイメージがピタリと決まるのがたまらない快感」。そう、自身が取りつかれたオリエンテーリングの魅力を語り、後輩を見守る。
創部から1年。県立大OLCから世界大会への出場者が出た。
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