|
東北銀行の新頭取に浅沼新・副頭取が就任した。リレーションシップバンキングとしての機能強化、ペイオフ全面解禁、地域経済の活性化など地域金融機関を取り巻く課題が山積している。浅沼新頭取に今後のかじ取りについて聞いた。(インタビュー・大森不二夫記者)
|
|
 |
|
|
【写真】浅沼新・東北銀行頭取
|
|
|
|
|
|
−新頭取に就任した感想を。
浅沼頭取 改めて考えてみたが、大上段に構えるほどの抱負はないと言うのが率直なところだ。というのも、この10年間役員として自ら経営方針策定にかかわってきた。現在の新中期経営計画「ダッシュ」(4月〜06年3月)も策定した。これをきっちりと遂行すること。
−最近の岩手の経済環境をどう見ているか。
浅沼頭取 日本全体で景気回復基調にあるといわれるが、岩手を含めた北東北3県の地域経済は、全体的にはまだ厳しい状態。一部の産業は上向きだが、全体的にはまだ底入れがみられない。特に産業構造の調整が進展する中、21世紀型ベンチャー企業、環境産業、少子高齢化への対応産業(医療、福祉、介護関連)など、新産業創出が必要だと思っている。
−地域経済を活性化するための金融機関としての役割は。
浅沼頭取 当行は1950年に、県内各地の商工会議所が中心になり戦後第1号の普通銀行として誕生した。ここが原点であり、地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄えるが当行の経営理念。資金は地元に環流が使命。県内の預貸率(預金に対する貸出金の割合)は73・96%と高い。生い立ちからしてリレーションシップバンキングそのもの。地銀の中で個人・中小企業貸出比率は89・67%(04年3月末)で、地銀の中で上位。その維持・向上こそが地域社会・経済への発展と認識している。
−具体的な施策としては。
浅沼頭取 今回の新中期経営計画「ダッシュ」には新規法人貸出先1千先(純増)を掲げた。300万円、500万円、1千万円などの金額で融資する先を増やすことによって波が起き、風が吹く。それがハロー効果を生み、地域経済に貢献するのではないか。確かに健全性の観点からすればリスクの問題はあるが、多少のリスクは覚悟の上だ。地道にやっていくこと。これは当行の理念に立脚している。
−経営課題として何を掲げているか。
浅沼頭取 ▽企業価値の向上〜地域への貢献による地域からの適正評価▽収益力の強化〜付加価値提供による事業性貸出への特化▽環境変化への即応〜創造・選択と集中の3点を掲げた。具体的施策として企業価値の向上に関しては、問題解決業への転換を目指したリレーションシップバンキングへの取り組み、ペイオフ解禁への対応、コンプライアンス(法令順守)の徹底、リスク管理の徹底、地域からの信頼向上、不良債権の未然防止、苦情の撲滅などがある。
−顧客への説明会開催にも積極的だが、その狙いは。
浅沼頭取 01年から県内で当行が最初に開始した。年2回、決算発表日の翌日から会長と手分けして、当行の現状や今後の経営計画などの説明・懇談を重ねてきた。今年度で6回目の開催。自己資本比率や繰り延べ税金資産、不良債権の状況などを詳しく説明している。いずれも積極的な情報開示を推進するため。ネガティブな事象も公表して理解してもらうこと。そのことで不安が取り除かれ、信頼を勝ち得ると考えている。来年はペイオフ全面解禁になるが個人預金は順調に増えている。当行を信頼している表れと考えている。
−とうぎん年金倶楽部を発足させたが。
浅沼頭取 当行の計画のもう1本の柱に「地域社会にやさしい銀行」を挙げた。既に高齢化社会に入っており、当行として地域社会に還元できるサービスを考えた。利益だけを追い求めるのでなく、社会のためにお役に立ちたいとの考えから。02年12月から各種年金受取口座の契約者を対象に倶楽部に入ってもらう運動を展開している。電話で医療相談が無料で受けられ、住居のトラブル解決の支援なども行っている。当初会員は200人ほどだったが今は2500人を超えた。
−最近、金融機関の間で合併が行われているが。
浅沼頭取 合併は考えていない。当行は岩手県経済を支える中小・零細企業に血液を供給する金融機関として誕生したのが原点であり、地域で必要とされる銀行であり続けたい。
−座右の銘は。
浅沼頭取 座右の銘は、「自然体」。それと、高野長英を輩出した高野家13代の祖父が贈ってくれた「凪(なぎ)」。人生の中で、時には心穏やかに静かにという言葉を大事にしている。
|