2004年 7月 3日 (土)       

■ 〈美術〉「自画像」も ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち

 「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」は盛岡市本宮の県立美術館で開かれている。日本で人気を誇るゴッホ、ミレーの諸作とバルビゾン派作家の作品を集め、ミレーに対するゴッホの傾倒だけでなくバルビゾンを含めた3者の相関関係に視線を向けた展示内容となっている。8月15日までだが、ゴッホの「一日の終り(ミレーによる)」は7月25日までの展示となる。

県立美術館で開かれている「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」の会場。左はミレーの「羊の毛を刈る女」
【写真】県立美術館で開かれている「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」の会場。左はミレーの「羊の毛を刈る女」


 展示されているのは約100点。国内美術館や個人蔵の作品が大半を占めるが、ゴッホの作品に関してはゴッホ美術館やユトレヒト美術館、アムステルダム美術館などが所蔵する作品が数多く搬入された。

 ゴッホ(1853〜1890年)の主な展示作品は「自画像」(1887年、油彩)、「麦畑」(88年、同)、「羊の毛を刈る人」(89年、同)、「木を切る人」(89年、油彩)、「耕す人」(89年、同)、「一日の終り」(89〜90年、同)、「草原の二羽の兎」(89年、同)。

 オランダ生まれのゴッホは農民画家として、農民の農作業の姿や農村風景を数多く描いた。画家の道を歩み始めるのは27歳のときで、その当初から農民画に強い関心を示した。特にミレーの版画や版画集を入手し素描練習を繰り返し、実際の農民をモデルに描いていく。今展では素描を繰り返した当時の農民のデッサンも数点、展示されている。

 ゴッホの89年からの油彩画はミレーの版画などを模写した作品が多い。しかし、画業を始めてから9年たったゴッホは、模写をしながらも独自性の高い世界を築いていた。その色彩やタッチはミレーたちと離れている。

 一方、フランス生まれで、バルビゾン派の一人ミレー(1814〜1875年)は46〜47年にかけ、のちに共にバルビゾン派と呼ばれることになる画家たちと知り合う。49年、コレラが流行したパリを離れバルビゾンに移住。以後、亡くなるまでの大半をバルビゾンで過ごした。50〜51年にサロンに出品した「種まく人」が農民画家としての評価を決定的なものとした。

 今展では「耕す人」(56〜57年ごろ、木炭・白チョークおよび55〜56年、エッチング)、「羊の毛を刈る女」(60年ごろ、油彩)といったゴッホが模写した関連深い作品が展示されている。

 両者の同じモチーフを見比べるのは今展の楽しみの一つ。特に「羊の毛を刈る女」は、ともに油彩画が出され、筆致や色遣い、表現志向の違いが、二人の強烈な個性を明らかにしながら示されている。

 ミレーはバルビゾン移住後の素朴で屈強な農民の働く姿をとらえた絵が最も知られるが、農村で見いだされる美しさに目を向け描いている。「雁」(65年、パステル・クレヨン)、「羊飼いの少女と羊の群れ」(68年、ペン、色インク、水彩)や「家路につく羊飼い」(73〜74、油彩)など羊飼いの少女をモチーフにした作品が代表といえる。


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