2004年 7月 4日 (日)       

■  〈美術〉北斎漫画と北斎の富士展 萬鉄五郎記念美術館で

 「北斎漫画と北斎の富士展」が11日まで、東和町の萬鉄五郎記念美術館で開かれている。同館と北斎展実行委員会が主催。葛飾北斎(1760〜1849年)が生涯をかけて取り組んだダイナミックな発想や、モチーフを見つめる観察眼に、大判錦絵「冨嶽三十六景」、富士を主題にした墨ずりの絵本「富嶽百景」、200人を超える弟子たちへの絵手本として描かれた「北斎漫画」から迫っている。

 全46図の連作「冨嶽三十六景」からは14点を出展。江戸を中心にあらゆる地点や角度から眺めた富士山と共に、さまざまな庶民の日常の姿を登場。人物の背景として描かれてきた初期の風景画から離れ、「三役」と呼ばれる3点の作品では大自然そのものを主題として描写。これらは北斎にとってだけでなく、浮世絵史における風景版画の確立ともいえる重要な位置を占める。

 その一つ「山下白雨」では、激しい稲光と夕立(白雨)が降る山ろくとは対称的に、晴れて絹雲がたなびく山頂を鮮やかに描いている。

 102図からなる「富嶽百景」からは40点を出展。写真画像がなかった当時、動きの速い波の一瞬の姿を、自分の目を頼りに追い求めた北斎。「海上の不二」では、砕けた波頭が千鳥に変わるという奇想をも自然に見せる円熟した技術を感じさせる。

 「宝永山出現」では1707年(宝永4年)の富士山の最後の噴火の様子を、人々の慌てる姿を通して描写。障子をはずした窓枠にちょうど富士山が収まっている「掛物の發端(ほったん)」、水の面に移った逆さ富士を描いた「田面の不二」、海上の波のうねりに映った富士の姿を薄墨で描かれた「容裔(うねり)不二」など多彩な作品を見ることができる。

 65年の歳月を費やして刊行された全15編、総図数3900余りの「北斎漫画」からは約150点を出展。200人もの弟子を抱えていたという北斎が絵の手本書として制作。それらは国内だけでなくヨーロッパにも渡り、ゴッホやマネ、ルノアールなどに影響を与えたことでも知られる。

 モチーフは江戸風俗や風物、名所旧跡、歴史上の人物など多彩。人々の一瞬の動きをユーモラスにとらえ、庶民の生活を親しみを込めて表現。連続する踊りの動きを描写した「雀踊り」は、カメラの連写に匹敵する北斎の視覚を見ることができる。それは現在のアニメーションの先駆けと言っても過言ではないと説明されている。

 同展では初版ではないが、「北斎漫画」で実際に使用された版木10点も展示。そのほか「冨嶽三十六景」の「凱風快晴」をモチーフに、版木を作って摺る順番を解説。1枚ずつ線や色が入っていく様子を実際に見ることができる。

 午前9時から午後5時まで。月曜定休。入館料は一般700円、高校、大学生は600円、小中学生は200円。同展は同館をスタートし全国4カ所で巡回される。


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