獣医さんの仕事には人の健康を守る分野もある−。岩手大で3日、公開講座「獣医師が守る食の安全」が開かれ、獣医学の知識を生かして食の安全に活躍する獣医師の一面が紹介された。市民、学生、高校生など約120人の参加者が、食の安全に果たす獣医師の役割に理解を深めた。
講座はBSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなどで食品の安全性が見直されていることを受け、「食の安全・安心」に獣医師がどのような役割を果たしているのかを知ってもらおうと企画された。
冒頭、同大獣医学科の品川邦汎学科長が「卵、乳製品、肉などの動物性タンパク食品はBSE、鳥インフルエンザの発生を受け、消費者から一層の安全・安心が求められている。食の安心とは食べ物から、健康への被害を受けないということ。細菌、微生物など獣医師の得意分野が、食の安全にどう寄与しているかを知ってほしい」と呼びかけた。
続いて同大農学部の重茂克彦助手が「食の安全と獣医学」と題して講演。「獣医師が6年間で学ぶ知識のうち、食の安全に大きくかかわるのは、獣医公衆衛生学と呼ばれる分野。細菌、ウイルス、寄生虫などで発生する家畜疾病が人への健康危害を起こさないように、獣医学の知識を使って危機管理をすることが必要」と述べ、アメリカ、EUなどで導入されているHACCPと呼ばれる食品危機管理の仕組みを紹介した。
「HACCPは農場で飼育している段階から加工段階、さらに流通を経て、食卓に上るまでのあらゆる段階で一貫した衛生管理をすること。また、途中段階で発生する可能性のある微生物汚染などのリスク要因を科学的に評価し、どんな対策をすれば、安全な食を提供できるのかを検討すること」と説明。「人に危害を及ぼす、危険な因子を見つけ出すためには、獣医学の知識が欠かせない。食の安全性を保証することも獣医学の使命の一つ」と獣医学が食の安全に果たしている役割を紹介した。
ほかに県食肉衛生検査所の高田清巳所長ら3人が、それぞれ獣医学が貢献する食の安全について講演した。
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