盛岡市内の小売商業の年間販売額(02年)は約3880億円。昨年8月にオープンしたイオン盛岡SC(ショッピングセンター)の年間販売目標額は200億円。本宮に出店予定の仮称・イオン盛岡南SCは2核1モールの同形態同規模で、年間販売額を同額と想定すれば2店で400億円の販売額になる。2店で市内小売商業の10%強の販売シェアを確保する。
都南商工会では早々に、対策を検討するための会合を予定している。吉田栄佐己会長は「第2イオンは市立病院の裏側で都南地区に急接近することになり、当地区の商業は壊滅状態になるだろう。すでに県外資本の影響で地場の小売・商業は10分の1の30店ほどになっている。第2イオンが来れば、小規模店は店をたたまなければならない。地域もなくなり盛岡らしさもなくなる。県外大手資本の地域還元はない。地方の自立から遠くなる。これでは地方分権が成りたたない」と、警鐘を鳴らす。
開発案のコンセプトには「盛岡初」「若者」などをキーワードとした機能が盛り込まれた。子供向けアミューズメントにはイオンの関連会社が手掛ける室内型の遊園地などが入るとみる市内商業者もいる。
盛岡駅前商店街振興組合の森雄一理事長は「賃貸料が月額2061万円、保証料が2億4734万円という数字は地場企業1社では賄えない数字。新都心の開発にも資本力が必要なのだろう」「10年先を考えれば高齢化は今よりさらに進む。車でばかり生活するわけでない。そうなると地場が大事になるはず。近隣で買い物したり娯楽する。既存商店街はオールラウンドでなくターゲットを絞り、高齢者に優しい街でもいいはず」と、長期的な視点での対策を考えている。
イオンの動きをつぶさに追う商業者からは第2イオンだけでなく、今後さらに第3のイオンの可能性もあると指摘されている。繁田園の繁田秀一専務は「イオン盛岡SCが開店したときから、第2のイオンが出ると予測はしていた。一つだけでは大きなメリットはない。2店、3店と包囲して力を発揮する」「イオンは県外の市では多店舗展開している。人口規模は違うが、仙台市内にはイオンが4店ある。仙台市の繁華街の老舗デパート藤崎の前の人の流れが変わった。明らかにイオンの影響。盛岡も戦いはこれから」と気を引き締める。
ダイエー盛岡店の木村典夫店長も「2店舗目は当然。1地区に多店舗展開するのはイオンの戦略。SCでもドミナント戦略を行っている。物流センターを設置して効率化とスピード化を同時に行うだろう」と分析する。
「イオンは今、破竹の勢い。仙台市内にウォルマートが買収した西友オープンの動きもある。対ウォルマートであり世界のベスト10に入るための動きで、イオンの動きは止まらない。イオンの店舗展開、商品開発には正直、目を見張る点があり弱点を探すのは難しいくらい。いずれ盛岡の小売りも流通のグローバル化の中に入っている」と話す。
イオン盛岡SCへの食品納入業者の一人は「イオン盛岡SCに入るのも競争だった。第2イオンにもぜひ入れたいが納入業者の間でさらに激しい合戦が展開される。今の時代は勝ち馬に乗らなければ。イオンの取引条件は厳しいが学ぶ面は多い。そのうち大手スーパーさえ吸収するかもしれない」と語る。
盛岡商工会議所の斎藤育夫会頭は「計画が実現すれば個人消費低迷が長引くなか、業界の競争はますます激烈になると予想される。これまで取り組んできた街づくりにも大きな影響を与える。会議所としてより良い街づくりと市民生活の利便性向上の視点に立ち今後イオンの出店計画の内容を精査し、必要な行動に取り組む」とコメントした。
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