2004年 7月 9日 (金)       

■ 〈美術〉オランダ絵画の影響 県立美術館講座

 県立美術館でこのほど、美術講座2004がスタートした。第3回までは、現在行われている企画展「ゴッホ・ミレーとバルビゾンの画家たち」の連続講座を兼ねる。講師は同館専門学芸員の安井裕雄さんが担当し、初回は「19世紀フランスにおけるオランダ絵画受容」と題して行われた。

 オランダはスペインのハプスブルグ家から1609年に独立。その後、交易によって未曾有の発展を遂げた。そこから経済に明るく、物の価値をシビアにとらえるというオランダ人の性格が形作られた。

 それは絵画にも影響。物の価値を知っている人たちによって買われるため、本物のように描かれた肖像、風景、静物画が発達。高価な食器を本物そっくりに描くなど実務的な部分で発展した。

 19世紀のフランス人は、それらの絵画を写真のように描いた何の意味もないものととらえた。一方、最近の研究からは、何気なく描いたモチーフの中に寓(ぐう)意が込められていたり、単純に風景を写し取ったものではなく、スケッチをもとに再構成されたりしたことが理解されるようになった。

 当時のフランスの画家フロマンタンがオランダを旅行してつづった紀行文「昔日の巨匠たち」を紹介。オランダで活躍したライスダールやポッテルら、さまざまな画家について解説した。

 その中では静物画について触れられていないが「まるで目の前にあるかのように見える絵画のイリュージョンの面白さが、言葉では伝えられなかったからではないか。19世紀の粗末な複製図版では伝えられないため外したのでは」と推測した。

 西洋の風景の表現は非常に古い。古代エジプトやギリシャ、ローマなどでは全体というより風景のパーツが象徴的に描かれていた。紀元前1世紀から紀元後1世紀までの間にはもう少し相対的、全体的な空間を意識し始める。中世に入ると、一神教のキリスト教のため衰退。細かい木の葉を描き込んだりしなくなり、教会の正面に生命の木をシンボリックに描くなど、技術的な逆行が見られる。

 イタリアやフランスでは、風景は何かの物語の背景にあるものとされていた時期が続いた。オランダでは独立直後から実景を写真に撮ったようにそのまま描き込み、省略しないため、分かりづらいものになっていた。色数を抑えて単純化したり構造を単純にして説得力のある風景をつくり出した作家についても紹介した。

 同講座は全4回の予定。参加は無料。問い合わせは同美術館(電話番号は019−658−1711)まで。


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