2004年 8月 3日 (火)        

■ 啄木めぐる女性たちの手紙 盛岡てがみ館で公開中

 盛岡市中ノ橋通1丁目、プラザおでって内の盛岡てがみ館(八木橋哲男館長)で第15回企画展「女性が認(したた)めた文の数々」が始まっている。女性の書いた手紙ならではのしなやかさを感じさせる筆致とともに、しんの強さが浮かび上がる文面の数々。3つのテーマで約50点の書簡や原稿を展示している。

近江貞子書簡(1928年9月7日付)
【写真】近江貞子書簡(1928年9月7日付)

 今展は@啄木をめぐる女たちA歌人・俳人・作家・画家B著名人の妻−に分類し、紹介している。「しなやかに、ひたむきに…生きる姿をとどめて」のテーマにあるように、細やかな心配りや表現方法からは信念をもってたくましく、しなやかに生きた女性の姿が浮かび上がってくる。

 同館の船越英恵さんは「しなやかな感性とひたむきな感情が柔らかな表現でつづられている。しかし、その中に確固とした信念、うちに秘めた強さが感じられる」と、女性だけの手紙を集め浮き彫りになった特徴を解説している。

 その代表的な一つが啄木をめぐる女性で取り上げた近江貞子(1910〜33年)の書簡。石川啄木と親交のあった釧路の芸者・小奴(本名じん)の娘で、母の秘書役として手紙の代筆などをしていた。

 28(昭和3)年1月16日付、吉田孤羊あて書簡には「常から秘書として母あての手紙自由に開封いたしそれに對する御返事したゝめるあたしですけれど 結こふな秘書で御座いませふ ホホホ・・・字が下手で文章だって けれど無給ですので母も諦めてくれますの」「カッキリ晴れた六月の空視つめて鈴蘭の丘にまどろんで詩集なぞ讀た時が此の子に与へられた最上の喜びでございますの」などと書かれ、貞子という女性の表現も内面もにじみ出たかのように感じさせる。

 追伸の中に「あたし御存じの通り無学者で羞かしう御座います」と見られ、手紙を書くことに恥ずかしさを感じているが、つつましやかさと純粋な感情のストレートな表現の文面に読む人は心地よさを覚えるだろう。

 啄木の娘石川京子の東京啄木会あて年月日不明のはがきは、土岐善麿の「啄木追懐」が発刊されたのかどうか、いつごろ出るのかを尋ねる簡潔な内容。啄木の妹三浦光子の29年3月26日付の書簡は孤羊に対し「啄木全集」の編さんをねぎらうとともに、募る望郷の念がしたためられている。

 歌人・俳人・作家・画家の分野では与謝野晶子に師事した歌人原阿佐緒の書簡、画家深沢紅子のはがき(いずれも孤羊あて)、著名人の妻としては板垣征四郎の妻喜久子の孤羊あてはがき、舟越保武の妻道子さんの実父坂井徳治さんあて書簡などが紹介されている。

 企画展は10月25日まで。


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