2004年 8月 4日 (水)        

■ 北天に眠る士 室蘭市南部陣屋150年祭に盛岡からツアー

 幕命を受け、北海道で北方警備に当たった盛岡藩。派兵藩士が駐留、任に当たった盛岡藩室蘭陣屋の構築150年祭は1日、室蘭市で行われた。派兵された中には、北天の地で望郷の念を抱きながら、帰郷できず没した藩士も。旧盛岡藩士桑田の下田靖司理事長をはじめ関係者が慰霊祭や記念式典に盛岡から参列し、安らかな眠りを祈った。

室蘭陣屋内の藩士墓域で営まれた150年慰霊祭。焼香する南部利文、亜由子夫妻
【写真】室蘭陣屋内の藩士墓域で営まれた150年慰霊祭。焼香する南部利文、亜由子夫妻

 150年祭へは桑田の協力の下、盛岡タイムス創刊35周年記念事業としてツアーが企画され、17人が参加した。南部家45代当主南部利昭さんの名代として南部利文さんが夫妻で参列。南部家関係者、北海道の桑田関係者らを合わせ約30人が室蘭市民らで行われた記念祭に参加した。

 日本沿岸への外国船出没に、幕府は1855(安政2)年、各藩に警備を命じた。東北諸藩は北海道の北方警備を担い、後幕領期、盛岡藩は元陣屋を箱館(函館)に置き、室蘭(モロラン)には1856年、出張陣屋を構築。約350人が常駐。幕末、幕府側に立った盛岡藩は、陣屋を焼き払い撤退した。

 陣屋跡は国史跡。敷地約5万1千平方メートルの中に建物の縄張りが示されている。過酷な気象条件、食糧確保にも苦心した長期滞在で、藩士に犠牲者が出た。壊血病にかかるなど病没した藩士の墓が、旧陣屋附属火薬庫跡地に整備されている。

 1日は室蘭市民による室蘭南部陣屋構築百五十年祭協賛会(鈴木孝範会長)主催の慰霊祭が、陣屋跡の藩士墓域で約200人の出席により営まれた。読経の流れる中、参列者が焼香。南部利文さんは「この地に眠る藩士のめい福を祈ってくださり、安らかに眠ることができるだろう。これからも長く守り続けていただければと願う」とあいさつし、室蘭市民に対し墓守などの労に感謝を表した。

 同市主催の式典は市内の会館で開かれ、新宮正志市長は「150年前、未開のこの地に敢然として、幕命を受けた盛岡藩の350人が陣屋に駐留。18人が尊い命を落とし、うち12人が墓に眠り続けている。わたしたちが時に見失いがちな強い精神力と人間愛をこれを機会に改めて心にとめておかなければならない」と式辞。鈴木会長は「次の時代に引き継ぎ、室蘭のシンボル、心の憩いの場として活用されていくことを願う」と述べた。

 記念事業には盛岡市から川股精裕収入役が市長に代わって出席。「長きにわたり陣屋の保存に尽力されてきた関係各位に深く感謝する」などと市長のメッセージを室蘭市民に伝えた。

 参加した桑田の下田理事長は「歓待していただき感謝している。今後、盛岡と室蘭はもっと交流があってしかるべきと思う。どちらかというと室蘭のほうが熱心で、盛岡には反省すべきものがある」と述べ、北方警備での盛岡藩の歴史を掘り下げ、継承する必要性を強く抱いた。


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