2004年 9月 4日 (土)        

■ 「賢治の世界を撮る」 故宮沢清六さんの写真展

  宮沢賢治(1896〜1933年)の実弟で故清六さん(1904〜2002年)の写真展「賢治の世界を撮る」が2日、盛岡市中ノ橋通のもりおか啄木・賢治青春館で始まった。26日まで。賢治の一番近くにいて多くの時間を共有した清六さんの愛用品、賢治の作品にも登場した花巻市の「イギリス海岸」を記録した写真など約80点が展示されている。賢治が描いた心象世界が弟の手で再現されている。

 賢治が亡くなる9年前の1925年9月21日に、賢治が清六さんに出した書簡は、会期途中に賢治の命日にあたることもあり初めて一般に公開される。同展は、清六さんの生誕から100年目を迎えたことで初めて企画された。

初めて一般公開される賢治が清六さんにあてた書簡は賢治が亡くなる9年前に出された
【写真】 初めて一般公開される賢治が清六さんにあてた書簡は賢治が亡くなる9年前に出された
 展示されているのは、清六さんが四季折々のイギリス海岸の風景を記録した写真と愛用のカメラ。ほかにも楽器をたしなんだ清六さんが愛用した足踏みオルガン、ハーモニカなど。会場のBGMには清六さんが愛したバッハの「ブランデンブルク協奏曲5番」が流されている。

 清六さんは賢治と8つ違いの弟。1917年、賢治が盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)の3年生の時、盛岡中学校(現・盛岡一高)に入学。盛岡市下の橋際の玉井郷方家に賢治とともに下宿。盛岡で青春時代を過ごした。

 今回初めて展示される賢治の書簡は、1924年に弘前歩兵第31連隊に1年志願兵として入隊した清六さんを気遣い賢治が送ったもの。

 「われわれは楽しく正しく進まうではありませんか。苦痛を享楽できる人はほんとうの詩人です」などとつづられた書簡からは、弘前、鰺ケ沢、仙台と清六さんを訪ねて回った兄としての賢治の姿がうかがえる。

 写真展のテーマでもあるイギリス海岸は、花巻近辺の北上川流域の川底のこと。賢治が「イギリスのドーバー海峡と同じ泥岩層の地質で似ている」ことから名付けたとされる。「銀河鉄道の夜」に出てくる「プリオシン海岸」のモデルとされており、賢治に強い影響を与えた。4日には清六さんの孫・和樹氏(林風舎代表)と同館の中村光紀館長によるギャラリートークも企画されている。午後1時30分開場で午後2時開演。参加は無料。


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