2004年 9月 4日 (土)        

■ 〈美術〉語り始める風景 堀内孝一さんが初個展

  滝沢村の堀内幸一さん(81)の初めての個展が5日まで、盛岡市内丸のテレビ岩手ロビーで開かれている。油彩を始めて20年間に描きためた作品の中から風景画33点を展示している。

 国鉄に勤務していた堀内さん。絵画を本格的に始めたのは、退職後の61歳のとき。メンバーに誘われて砥草の会に入会し、制作を続けてきた。初めて勤務した国鉄盛岡工場や、レールや転車台など、長年携わった鉄道の思い出を描いた作品も出展されている。

堀内幸一さんと「採石場の朝(簗川)」
【写真】 堀内幸一さんと「採石場の朝(簗川)」
 「宮古街道をテーマに、2人展を開こう」という会の仲間の提案で制作を始めたのは10年前。宮古出身の堀内さんは、どの時期にどの辺りまで紅葉しているか、季節ごとにどこが日陰になるかまですべて頭に入っている。「相棒が挫折した」ため2人展は実現しなかったが、60点を超えたという作品の中から12点を発表。

 若いころから、何度となく往復した街道。その時々のいろいろな思いを、道沿いの自然が見せる四季折々の表情に重ねた。今は使われなくなった旧街道の山道や、かつては盛んだった宮古鉱業所、田老鉱山などを郷愁と共に表現している。

 盛岡市簗川の採石場を描いた作品も出展。ダムが造られる計画があることから「あと10年もすると水の底に沈むだろう」と思う。「失われていくものを絵で残したい」と思っている。

 今展にも多く出展されている雪の風景。自分の絵画制作の原点になったのが、県芸術祭部門賞を受賞した「山あいの停車場(山田線松草)」(1986年)だと思う。雪の重さで今にもつぶれそうな停車場の屋根の下を、小さな子供たちが元気に駆け上る。何層にも重ねた絵の具で表現された雪の柔らかさや温かさ。雪国で生まれ育った心情を、作品の中で表現している。

 今年の冬は車にキャンバスを積んで、国鉄時代に勤務した青森へ。津軽半島を一人で運転し、吹雪のために車内で夜を明かしたことも。「これからも宮古街道を描きながら、また津軽の海にも挑戦したい。運転できるうちは、遠出して絵を描き続けたい」と思っている。


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