2004年 9月 9日 (木)        

■  〈美術〉「たゆたう」 植田渓さん銅版画展

 岩大芸術文化課程造形コース美術専修4年の植田渓さんの初めての個展が11日まで、盛岡市上ノ橋町のギャラリー彩園子Kで開かれている。銅版画を中心に17点を展示している。

「たゆたうM」(ソフトグランドエッチング、ドライポイント)
【写真】「たゆたうM」(ソフトグランドエッチング、ドライポイント)

 すべて抽象作品だが「難しい感じではなく、ふわふわした楽しい気持ちになってほしい」という思いを込めた作品が並ぶ。

 「たゆたう」と題された約15センチ四方の4作品は、すべて黄色で刷った。ソフトグランドの上にガソリンをたらしてできた円と、ドライポイントの線を組み合わせた。部分的に手芸用のレースの模様を転写。前面には出ていないが、近寄って見つめていると見えてくるマチエール(材質感)を楽しんでほしいと思う。

 題名は「絵の中に動きがほしい」という気持ちを表現。「明るく優しい黄色を使い、見た人の固まっていた心がほどけるようなものにしたかった」と話す。

 「満ち引き」は静かな夜の海の、寄せたり引いたりする波の雰囲気を表現。腐蝕を10回ぐらい繰り返し、原版に凹凸を作り出した。青緑色のインクで刷った後にセピアを重ねることで、色の深みと少しぶれている感じを表した。

 「偶然できた形と自分自身から出てくる生々しい線を組み合わせて、作品として成立させたい」と1年前から試行錯誤を開始。版に引いたグランドを部分的にはがして腐蝕を繰り返す。そこから偶然できたマチエールを作品の中に取り込む。

 線を入れるのは最後。どんなに細い線でも、刷ると絶対に出てくることが怖さでもあり楽しさでもある。特にドライポイントは力を込めたと思っても線が弱かったり、出てほしくない線が強く出たり。手の力だけで調節ができない面白さを感じているという。

 これからは「ふわふわした感じの中に力強さを加えていきたい」と話していた。


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