|
盛岡市出身でフィレンツェ在住の千葉孝子さんの個展が11日まで、同市上ノ橋町のギャラリー彩園子で開かれている。平面作品5点が出展されている。
|
 |
|
|
【写真】「ある水の道」
|
|
|
|
|
|
|
フィレンツェに住み始めたのは4年前。もともと書道が専門だったが、現在は版画やミクスドメディアなど多彩な平面作品に取り組む。
今展の全体的なテーマは「目に見えないものの存在をどう信じるか」。そのナビゲーターの役割を果たすのが「Perfezione」(ミクスドメディア)。ミケランジェロの秀作集から「聖家族」のマドンナの頭部を描いたページを使用。その絵の上に直接、和紙や岩彩、金泥など多彩な素材を重ねた。元絵は見えなくなっているが「ここに存在することは確か」という思いを表した。
7点で一つの作品になる「ある水の道」は、こうぞを原料にした和紙を使用。作品を横に貫く墨の線で、フィレンツェを走るアルム川を表現。川の始点に、ギリシャ語のアルファベットの最初の文字A(アルファ)、終点に最後の文字Ω(オメガ)を書き入れた。
4年前、観光で訪れたときにその川に出合い、引き寄せられフィレンツェに住むきっかけになった。現在、川のすぐ側に住む自分の姿を見据え「今ここにいる」と、存在を確認している。
厚くすいた1枚の紙をはいで2枚にし、その裏側には谷川俊太郎の詩を題材にした書をしたためた。1点ずつで完結している内容だが、すべてつなげると一つのシリーズになるため「どちらも表になり得る」。その制作は、平面より立体の感覚に近い。作品、紙に直接触れたいという欲求を大事にしている。
紙は職人に依頼し、話し合いを重ねて完成。手すきのため、それぞれ表情が違うが、強引に自分の思い通りに作るというより1枚1枚の個性を作品として生かしている。
欧米人はキャンバスに下地を塗ってから描く油彩のように、全面を埋め、スペースを残すのを感覚的に怖がる。一方、紙と墨の世界で制作を続けてきた千葉さんは、にじむことに慣れているので恐怖感がないという。完成までにいくつもの工程を経る油彩や版画と違って一瞬で終わってしまう世界だが、偶発的な面白さも受け入れて制作を楽しんでいる。
|