2004年 9月 10日 (金)        

■  映画「タイマグラばあちゃん」17日に上映会

 長編記録映画「タイマグラばあちゃん」が17日、盛岡市内丸の県公会堂で上映される。主催は記録映画を盛岡で上映する会(盛岡活動倶楽部内)。早池峰山のふもとの小さな開拓地「タイマグラ」に暮らす向田マサヨさんの姿を、15年をかけて追ったドキュメンタリー。これまでに花巻や宮古、平泉や紫波など県内各地で上映され大きな感動を呼んだ。「地元から生まれた作品を中央にアピールしよう」と、会場は収容人数の多い県公会堂になった。

 「タイマグラ」には戦後、10軒余りの農家が入植したが、東京オリンピックのころにはほとんどの家が山を去り、向田久米蔵、マサヨさんの夫婦2人だけになった。約20年後の1988年、大阪出身の若者、奥畑充幸さんが空き家を借りて住み始め、久しぶりのお隣さんに。その年の暮れに初めて電気が引かれるという「大事件」もあった。

 人里から10キロも離れ、水道がなくわき水や沢水をくんで使う。不便に見える山奥で「極楽だあ…」と笑いながらお茶を飲むばあちゃんの姿。自分が育てた大豆を使った豆腐作り、春一番のみそ作りなど土に生きる素朴な暮らし。長年連れ添った夫の死、大雨による不作、お隣さんの結婚などが盛り込まれている。2000年の春、ばあちゃんは心臓発作で山を下り81歳の生涯を閉じた。

 澄川嘉彦監督は1989年、テレビ局のディレクターとして初めて同地を訪れ、ばあちゃんと出会った。何本かの番組を制作したが「撮影期間に制約のあるテレビ番組では、ばあちゃんが感じている幸せの正体にたどりつくことは難しい」と会社を退職。自ら同地に居を構え、畑仕事を手伝いながら定点記録を続けた。

 15年間の撮影を通して見えてきたものは、どんなに文明が進んでも変わらないもの。身体を動かして働く喜び、自然に抱かれる喜び、季節を感じる喜び。便利な「モノ」はなくても、そこには自立した人間の誇りがある。「大きな自然の中におさまっている」という安心感が、ばあちゃんの笑顔を生み、暮らしを豊かに彩っていた。

 澄川監督は「ばあちゃんが持っていた豊かな時間をひとつの映画にまとめることにより、この映画に触れた人たちがそれぞれの過ごしてきた時間を振り返り、生きることの素晴らしさをあらためて感じる一つの機会としてもらえれば幸いです」と話している。

 上映会では川井村と同村産業開発公社の後援により、前売り券を購入した人の中から抽選で同村の特産品が当たる。入場料の一部は後援の県公会堂県民フォーラムの保存活動に寄付される。

 17日の午後2時からと同6時から県公会堂大ホールで。チケットはプラザおでってで発売中。前売り1千円、当日は1300円、小、中学生は500円。問い合わせは同倶楽部(電話番号は623−4059)まで。


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