2004年 10月 1日 (金)        

■  〈経済〉独立店舗に戻し再出発 地域商店の挑戦

 盛岡市大通商店街にあるコンビニエンスストアが2日、運営形態を独立店舗形式に戻してオープンする。それまで加盟してきた地元資本のチェーンが、経営上の問題から中央の大手フランチャイズへ営業譲渡。これに伴い大手チェーンへの移行を迫られた。しかし、大手に加盟すればさまざまな制約が課せられる。自分たちがやってきた店づくりとは考え方が違っていた。とはいっても流通機構が様変わりした現在では、フランチャイズに加盟しないと商品仕入れが難しい。時代の流れに逆行して果たして店を維持できるのか、悩んだ末の決断だった。

10月2日に新装開店予定のFUJI大通店の前に立つ藤村庄造さんと愛子さん
【写真】10月2日に新装開店予定のFUJI大通店の前に立つ藤村庄造さんと愛子さん

 盛岡市大通3丁目のFUJI大通店(藤村庄造店主)は、祖父の代から藤正の屋号で経営してきた小売店。15年前に店主の経営感覚を尊重するボランタリーチェーンのキャメルマートジャパンに加盟した。

 これによって商品仕入れルートが確立され、本部からの指示に従いながらも市内のパンメーカーに依頼したオリジナルパンや県北の菓子メーカーのせんべいなどを販売。店内にカフェスペースを配置したり、好きな映画ポスターを貼り、映画のチケット販売なども手掛けた。

 今年の夏、キャメルマートジャパン側から県外大手FC加盟に切り替えるという話があった。「本部が厳しい経営状態であることはうすうすは知っていた。しかし、まさかこんなに早くなるとは。一瞬頭の中が真っ白になった」と藤村さん(57)。大変なショックだった。

 祖父から続いてきた商売。やめるわけにはいかない。紹介されたFCは24時間の経営。「すべてマニュアル通り。自分の考え方や地の味やカラーを打ち出せない。24時間はしたくない。加盟店をやめれば仕入れルートは途絶える。商品が入らなければ商売はできない」。藤村さんは悩み続けた。

 店は9月からシャッターを下ろしたままになった。4人の子供たちも心配した。藤村さんは「ルートはないのかと動き出してみた。長年商売してきたので取引のあったメーカーや昔からの問屋が思わぬルートを紹介してくれた。応援するメーカーや問屋も現れた。ありがたかった。顧客からも頑張れと声を掛けられた」という。

 元気を取り戻して独立店に再起を懸けることに決めた。新たな構想も浮かんだ。

 四方八方奔走し以前のような商品仕入れのルートをぼぼ確保した。「加盟店の経営システムはないが、昔ながらの小売店の感覚で再起したい。ここでしかない地場産品などを置きたい。添加物なしの手作り弁当をこしらえている所も見つけた。白神山地の水なども置きたい」と話す。

 市の観光ボランティアでもある藤村さん「観光関係のパンフレットも置き、歩いて楽しめる街に貢献したい。映画の券ももちろん扱う。こんなことはFCでは無理。大手ではできないことをしたい」と言う。

 妻の愛子(53)さんは「眠れない日々が続きました。わたしたちは店を続ける以外、生活の仕方を知りません。落ち込みましたが子供たちも知恵を出してくれ、家族が一丸になりました。地域の方々の声も励みになり長年地域に根付き商売をしてきてよかったと感じました。これからは地域の子供たちや年配の方とあいさつや話をしながら昔ながらの店の気持ちで接したい。もし、わたしたちのように悩んでいる店があれば一緒に頑張りたい」と仲間を呼び掛ける。

 FUJI大通店(電話622−7837)。10月2日午前7時、再起を期してスタートする。看板にはキャメルマートの文字の替わりに夫婦2人のイラストが入る。地域に根差した店を目指す。


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