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もりおか啄木・賢治青春館の名誉館長で劇作家の井上ひさしさん(69)の講演「啄木と賢治」が9月26日、盛岡市中ノ橋通のプラザおでってであった。井上さんの講演は、名誉館長就任以来初めて。同館(旧第九十銀行)が7月に国の重要文化財の指定を受けたことを記念して、初めて開催された。400人以上の応募者の中から、抽選で選ばれた約240人は、啄木と賢治の双方に造詣が深い井上さんの話に聞き入った。
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【写真】旧第九十銀行の国重文指定を受け、もりおか啄木・賢治青春館の名誉館長就任以来、初めての講演した井上ひさしさん
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井上さんは「啄木との出会いは、母が徴兵逃れだとか、農地解放とかの運動をしていた逃亡者をかくまうために使っていた割り符。その割り符には啄木の歌が記されていて、母は割り符を持つ人をかくまっていた。突然家に来た若い人がしばらく家に滞在していたというのが記憶にある。そんなことで子供心に啄木というのは危険な歌なんだと思った」と、啄木との出会いを振り返った。
「戦争が終わったころ、熱心な賢治ファンだった小学校の女の先生から賢治の『どんぐりと山猫』を読んでもらった。その時、『山はうるうると盛り上がり』という表現に電流が通ったような感動を覚えた。山の景色を、手に取るように言葉で表現している素晴らしさに、それからすぐに賢治に夢中になった。最初に買った本もそれだった」と啄木と賢治、それぞれの作品との出合いと印象を振り返った。
「賢治がすごいのはその先見性。昭和の初めという時代に、地球の主人公は人間ではないということを言っていた。人間という1種類の命が肥大していったとき、地球にあるたくさんの命のバランスが崩れ地球はバランスを保とうと牙をむく。今はまさにそういう時代だが、あのころはそういう考えはなかった」と賢治について話した。
「最近、啄木だったら、賢治だったらどう考えているかなんてことを考えるようになった。啄木の評論『時代閉塞の現状』で啄木が言っていることを借りれば、日本人は今、どこに行けばいいのかを見失っている」と話し、「環境問題、核問題、そしてアジアのゆるやかな連帯をつくりまとめることを日本が世界の人の先頭に立ってやっていかなければならない」と話した。
「二人は岩手が生んだ不世出の作家。後世につないでいかなければならない。そのためには、われわれがもう一度作品を読み直すことが必要だ。二人の作品を読み続けることで作品は永久の命を持つはずだ」と啄木と賢治作品の読み直しを呼びかけた。
井上さんは「泣き虫なまいき石川啄木」「イーハトーボの劇列車」などを執筆。出身は山形県だが、一時期釜石市に在住したことなどから東京岩手県人会会長も務めている。
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