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盛岡市内で育った木を1軒丸ごとに使う一般住宅が、同市内で建てられている。木を全面的に生かした伝統工法の家。建てる大工が直接、立木を見て使う個所を決めた木々が使われるという、今では希少になった昔ながらのスタイルで建てられる。しかし暗い、寒いといった伝統的な家とは異なり、現代生活に沿った、住む空間づくりが進められている。
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【写真】盛岡市内で建築中の地域材を使った住宅の現場
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受注したのは市内の建築家渡辺敏男さんの〈盛岡〉設計同人と伝統工法の住宅や社寺の建築を数多く手がけている猪狩工務店。渡辺さんは「ご夫婦とも昔の大きな家で育ち、木の家らしい家を求めていた」と話す。地域材を調達して建てる仕事もしていた猪狩工務店とのコンビで施主に提案。「そんなことが可能ですか」と驚き、了解したという。
工務店5代目の猪狩義司郎さんは「3代目から付き合いのある上米内の山主から木を買っている。山に入って木を見て区画をまとめて買う」と話す。1本ずつ選別して品質の高いものだけを買うのではなく、区画で全伐するので、山主にとっては植林もしやすい。並の木もまとめて買われるので資源が有効に使われることにもなる。
今回の家は2月に切り出し、あら取りという大まかな製材後、乾燥させてきた。春に着工。金具は法令上の必要最小限しか使わない工法で、刻みも建てる大工が職人の技で入れた。
この山からスギは100年生のものが入手でき、柱や梁に利用。樹齢250〜500年のクリは土台などに使われた。ごく一部、大黒柱に使うケヤキやほかの樹種の部材も県産材でまとめた。
木は木で組むという日本の木造住宅の伝統工法。今回の渡辺さんの設計は大工泣かせだという。素材を生かした家づくりを提唱し、木の家は木の家らしくと考えた設計は、吹き抜けが多く天井が少ない。猪狩さんは「普通なら隠れてしまうところが見える設計で、木の使い方も技法もすべて見えてしまう」と苦笑い。しかし、この仕事を楽しんでいる。何しろ一軒丸ごと地域材を使った住宅となると22年前までさかのぼらなければならない。
渡辺さんは「工法といえば工法のことばかり、断熱といえば断熱断熱と優先させるきらいがあるが、一番は家族が安心して暮らせることが一番。家と庭があって家庭ができる。核家族の中でさらに核分裂している今、もう一度家族の結びつきを家でできないか。昔のように障子紙1枚の間仕切り、姿は見えなくても気配が感じられる家が今にあってもいい。日本の住宅は平面優先であまり空間として見ていない。日本の伝統を生かして省エネになって冬暖かく夏涼しい、そして長持ちする家」と話す。日ごろ考えている家づくりを今回も目指している。
猪狩さんは「100年以上育った木は伝統工法で100年以上使ってもらいたい。在来の木で100年というのは、気候風土に合っているから。上米内の木はお客さんが長く使いたいと望むようなときに調達している。大工が山に立ち会い、地元で製材している」と話す。
渡辺さんは地域材の家づくりについて「お金が地域の中で回る。牧畜が豚1頭丸ごと地域で食べるようにすれば安くなるのと木も同じ。基本的には地域の中でお金が回る地域経済のシステムがトータルにすることで可能になるはず」と意義を説く。
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