2004年 10月 6日 (水)        

■  〈美術〉深沢紅子野の花美術館で秋の展示

  盛岡市紺屋町の深沢紅子野の花美術館では2日から、「遺跡に立つ自画像と秋の展示」が始まっている。遺跡に立つ自画像は「廃墟に立つ」という盛岡大学蔵の油彩画。初のヨーロッパ旅行で訪ねたローマのカラカラ浴場に抱かれた自身を描いた1962年の作品。新鮮な空気に触れた深沢の心境がにじみ出た表情をしている。今展示は12月25日まで。

1962年制作の「廃墟に立つ」
【写真】1962年制作の「廃墟に立つ」


 「廃墟に立つ」は石の古代遺跡の懐に立って感動する深沢自身の姿。色彩的にくすんだ遺跡の石に対して深沢はスカイブルーに近い青のワンピース。遺跡の間からわずかにのぞいた青空と響き合い、清涼感を与えている。

 深沢は夫省三と初めてヨーロッパ旅行をした。同館の重石晃子館長は「女流画家協会ではモダンアートなどと一緒の展覧会となっていた。3回ほどヨーロッパに旅行しているが、この旅行で自由で新鮮な気持ちとなり、新しいことを試してみようという意欲があったと思う」と話す。

 背景の遺跡は造形的な画面構成となり、歴史の風格を伝える。深沢はやや体を右に傾けて、かかとを浮かせたよう。両手を胸前で合わせ、ときめくような表情で描かれ、感動の様子が伝わる。

 同じ年の「古跡」は自画像ではないが、一人の女性を入れ、ヨーロッパながらどこかエキゾチックな雰囲気を醸し出している。こちらも少し取り込んだ青空が単調にならないよう効いている。

 65年作の「籠の花」は油彩画。重石館長は水彩で描く野の花から「弱々しいと思われがちだが、色を付けるとところには付け、言いたいことをびしっと言っている」と話す。塗った絵の具を細かくひっかき、暴れたようでいながら小さなところにこだわりを見せている。色とりどりの花がたくさん入ったボリューム感のある作品で、重石館長は「天性のカラリスト」と言う。

 水彩の野の花は「からす瓜の実」「りんどう」「クリスマスローズ」「ほととぎす」「あけび」「しゅうめい菊」「さざんか」などの作品が並ぶ。咲いた花とともに実を描いているのが秋らしい。

 水彩だけを展示していたフロアに今展では油彩画3点も展示。女性が手にした「むらさきしきぶの実」、ススキやキキョウ、オミナエシ、ワレモコウ、ツルウメモドキなどが寄り添った「九月の静物」は「籠の花」とは違った静かな趣を出している。

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 同館では第2回花を描く展」の作品を募集中。高校生以上を対象にした花が主題の作品の公募展で、出品申し込みの受け付けは11日が締め切り。問い合わせは同館(電話625−6541)へ。


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