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紫波町彦部の野村胡堂・あらえびす記念館で3日から、新聞錦絵展が始まっている。新聞錦絵は、明治7年から9年ごろにかけて盛んに発行された錦絵付きニュースで、新聞記事が題材になっていることが特徴。三角関係のもつれから起きた殺人や幽霊の目撃談、下着どろぼうなど、政治や経済とは無関係だが、庶民の関心をそそる事件が、浮世絵の流れをくむ独特の画法で表現されている。文字の読めない一般大衆にも大いに受け、当時は増刷に増刷を重ねた。今回は作家の高橋克彦さんのコレクションの中から約60点を展示、紹介している。来月19日までの開催。
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【写真】不埒な妹を折檻、両国川へ投げ込む(原画、芳年)
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新聞錦絵展は記念館の開館10周年に合わせて企画した。オープニングセレモニーには高橋さんや藤原孝紫波町長ら約30人が出席。展示室前でテープカットが行われ、高橋さんが直接、来館者に新聞錦絵の魅力について説明した。
「さつばつとした画面ではあるが、明治時代の日本人が何を面白いと思い、何を考えていたかを目の前に再現してくれる貴重なもの。何より、実話を題材にしているため、作品にダイナニズムがある」と高橋さん。芸術的な観点からは浮世絵よりも一段低く見られている錦絵だが、繊細かつ大胆、躍動感あふれる描写は見事。「浮世絵は江戸時代の人々にとって芸術ではなく、世の中のことを面白おかしく伝える生活必需品だったと思う。浮世絵が目指していた究極の形が新聞錦絵ではないか」と語る。
「犬のくわえた生首で旅人殺し発覚」、「ふられ男、遊女を傷つけて自殺」−。殺人、情痴など、おどろおどろしい事件を描いたものが多いが、中には、大店の主が密通した妻に大きなのしを背負わせて相手の男に献上する「のしをつけて女房と離縁」、幼子を残して他界した母親の幽霊が現れる「死霊となっても乳を与える母の愛」、心中した男女に両親が結婚衣装をまとわせ、祝言を上げてやる「心中後の祝言、親心哀れ」など、こっけいさや人情味を感じさせる作品も。「本当に実話か?」と疑いつつも、つい見入ってしまう。現代でいえば、テレビのワイドショーの感覚に近いという。
新聞錦絵は平仮名絵入り新聞の創刊や写真の発達で、明治12、3年ごろには見られなくなった。新聞記者としても活躍した野村胡堂は、報知新聞の調査部長時代に「写真報知」という報道写真主体の冊子の発行を手がけていて「新聞錦絵にも少なからず影響を受けていたはず」と野村晴一館長は話す。
盛岡市から見学に訪れた平賀幸雄さん(49)は「恐ろしい事件が題材になっているが、どこかユーモラスでもの悲しい。ちょっと救われるような感じもする。現代はすさんだ時代と言われるが、当時もすごい事件があったんですね」と興味深げだった。
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