2004年 11月 7日 (日)        

■  寝る子は育つ 保育園で子守歌CDが効果発揮

お昼寝の時間に岩手の子守歌を聴かせているとりょう保育園
【写真】お昼寝の時間に岩手の子守歌を聴かせているとりょう保育園

 盛岡市西部公民館(小笠原弘榮館長)が製作したCD付き冊子「いわての子守唄と女性たち」が、同市立とりょう保育園(田畑三保子園長)で活用されている。同館が「子守歌が有する心理的な効果に関する調査研究」を委託し、9月13日から取り入れられた。0〜2歳児クラスが設けられている同園では昼寝の時間に導入。プロ、セミプロの歌うCDの聞き慣れない子守歌に最初は驚いたが、ほどなく「ねんねの歌だね」と習慣付き、すやすやと眠りに就くようになった。保育士も子守歌を覚え、肉声で聴かせることもしている。

 CDは同館が収集、採譜した県内の子守歌など28曲が紹介された。付録CDには同館の活動とかかわりのある声楽家や合唱団員の女性の歌を収録した。同館ではCDを用い、本来歌われていた家庭へ本来広がることを期待、その導入口として保育園での効果を探ることにした。

 子守歌を幼児へ日常的に聴かせることにより、心理的な親密感を感じ取り好ましい生活様式を獲得しやすくなるだろうと仮説を立て、同館の事業で連携する同園に委託。昼食後の昼寝の際、CDを聴かせるかCDの曲を保育士が歌って聴かせるかしている。

 一応の調査期間は3カ月をめどにしているが、このほど10月15日までの状況を見た中間報告がまとまった。同園には53人が通園するが、2歳7カ月から3歳6カ月までの2歳児クラスは次のような反応が見られた。

 初めてCDを掛けたときは、何かな?という表情で少し驚いた様子を見せたが、歌声を聴いてからは静かになった。昼寝の際ではなく遊びの時間にCDを流し子守歌の感想を聞いてみると、園児からは「ねんねの歌だよ」「きれい」「寂しい」との答え。昼寝の布団に入ってもざわついているときにCDを掛けると歌に耳を傾け、保育士が何も言わなくても静かになる。ままごと遊びのとき人形を寝かせ、人形の体をトントンとたたきながら「ねんねこ」と歌う園児もいた。

 1歳児クラス(1歳7カ月〜2歳6カ月)では、最初に掛けたとき「怖い」と言う子もいたが、保育士が「怖くないよ、ねんねの歌だよ」と言い、何度か聴かせているうちに怖いと言わなくなった。布団に入る前、騒がしいときにCDを掛けたら園児が静かになることも。毎日同じ時間に掛けていたが、3〜4日目には園児から「ねんねの歌だね」と言うようになった。

 同園ではこれまでも昼寝前、静かな音楽を流して眠りへ誘っていた。田畑園長は「音楽は心が落ち着く。子供の体はけじめが付くようで、静かな音楽が掛かると、ねんねだねと理解する。何も掛けないと寝る子と寝ない子がいる」と話す。

 同園では、保育士が子守歌を覚え、肉声で聴かせることもしている。子守歌の心地よさを感じているようだが、保育士が歌うと安心して聴いているようで、子守歌が歌われる本来の環境のほうが望ましいとみられる。保育士にとっても県内のさまざまな子守歌を知る機会にもなった。

 田畑園長は「保育士の世代が変わっていき伝えるのがなかなか難しくなっている。目まぐるしい生活の中でも子供とのやりとりは大切。徐々に保護者にも勧めていきたい」と、CD化の意義を受け止める。「子守歌には不思議な力がある気がする。素朴な中に安心できる感じがあり、忘れかけていたものを再認識する機会になった」と話している。

 同館では、地方地方にある子守歌が、家庭の育児の場で歌われ、歌い継がれることを願う。保育園の園児を通じて家庭に持ち込まれるよう、利用する保育園の拡大を期待する。


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