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滝沢村室小路の田中啓介さんの個展は12日まで、盛岡市上ノ橋町のギャラリー彩園子で開かれている。同所では2年ぶりの個展で、手漉(す)き紙などを用いた半立体の23作品を発表。抽象作品の中に風を描いている。
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【写真】田中啓介さんの手漉紙04シリーズの1作品
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紙漉きは20年ほど前に初めて手がけた。東京出身で岩手に移住して10年。「岩手にこだわりたい」と、東和町の成島和紙工芸館を通じて入手した県産コウゾを使って手漉きをした。
工芸館で漉いた紙は四方の縁が整形されている。自宅で漉いた紙は無整形でそれぞれに風合いがある。自宅製作の紙は、漉いた際に置いたざるなどの目が凹凸を生み出しそのまま用いている。
作品はこの紙と木綿やジュートのひも、使い込んだメリンスの古布の端切れをよったもの、作品によっては和紙や中国の竹紙、ガーゼなどと組み合わせて作られている。これらのひもは一度漉いた紙にさまざまな造形で置かれ、再び紙を漉く。3度、漉く場合もあるといい、ひもや端切れを「紙に封じ込め」一体化させる。
全体が白系の単色の中で凹凸の陰陽、メリンス自体の布色、スタンプによる着色、いろいろな和紙の色によって造形が生み出されている。「ずっと意識している風」を今作品でも表現。風の存在を視覚的に表現しやすいひもを用い、そよぐ風、強い風などさまざまな風を画面におこしている。
仕事として建築物などに描くモザイク壁画など環境アートに携わってきた。「その場にあるもの、落ちている石やがらくたなどを使って」表現してきた。「できるだけナチュラルなものを使いたい。なるべく人工的な工業製品のようなものを出さないように」と自然素材などにこだわりを見せる。
「子供たちでできるものをと、紙と糸、ひもを使った。写実ではない面白さを伝えたい。ドローイングで描いた写実はいかに本物に近いかで褒められるのが嫌い。形がいかに面白いかを抽象表現では出していける」と話す。
ワークショップなどを通じて造形の魅力を伝える田中さん。今展の作品にも、思いが込められている。
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