2004年 12月 05日 (日)        

■  「教育こそ予防ワクチン」 岩手大学でエイズセミナー

 岩手大で3日、エイズセミナー「ニューヨークからナイロビエイズ事情」があった。コロンビア大セントルーカス・ルーズベルト病院の稲田頼太郎医師は、ケニアでボランティアのエイズ診断をした体験を交えながら、「あの人だけにはうつしたくないという、他人を思いやる心が大切。現状を学び、正しい知識を持ってほしい」と呼びかけた。会場には、約150人の学生が参加し、エイズへの関心の高さをうかがわせた。

 稲田医師は「かつて、全人口の1%が感染し、エイズ大国と呼ばれたアメリカは今、エイズ患者が減少の一途をたどっている。死を待つしかないとされた、エイズの治療薬が開発され、延命ができるようになったことが大きい。だが、それよりも約300万円という高額な薬代をアメリカでは、国民だけではなく不法滞在者でさえも、無料としている点が大きい。それは、HIVに感染していた場合、大きなメリットになるからだ。感染していないのであればもちろん、たとえ感染していても、無料で治療が受けられるため、多くの人が検査をした。結果、アメリカではHIVはどんどん減ってきている」とアメリカのエイズ事情を説明。

 だが、「世界中で4000万とされるエイズ患者の75%がアジア・アフリカにいる。貧しいスラムでの生活を余儀なくされている人たちの中には、HIVが何なのかさえ知らない人も多い」として、自らもボランティアでエイズ健診をしたケニアの事例を説明した。

 「ケニアの北西にあるキスム市では、女性の4人に一人がHIV感染者だという調査結果がある。エイズ患者の父、母から生まれた子供は、父親、母親がやがて死を迎えて孤児になる。このエイズ孤児は、2010年には200万人を越えるとされている。また、ケニアでは働き盛りの若者を含めた全人口の1割程度がHIV感染者になると見込まれており、国が滅びるほどの危機といっても過言ではない」と説明した。

 そして、自身のエイズ診断について「貧しい国々では、どれだけ正しい教育をして、知識を与えていくかが求められている。少しずつでも教育を続けていかないとならない。教育こそがエイズ予防のワクチン。継続していくことが力なり」と締めくくった。


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