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秋の風われら明治の青年の危機をかな
しむ顔なでゝ吹く
〔現代語訳〕秋の風が、わたしたち明治の青年の、時代的危機を悲しむ顔をなでて吹いています。
〔評釈〕「中判ノート(明治四十三年七月〜十月)」の「九月九日夜」三十九首中の三十八首目。石川正雄の「以下普通インキ」と注記された六首の五首目でもある。直前の三十七首目には、『一握の砂』(144)の原歌が、「わが抱く思想はすべて金なきに因する如し秋の風吹く」の形で置かれており、『一握の砂』(144)への解釈にも影響を与えざるを得ないとともに、『一握の砂』全体が、時の権力に対しての配慮を行いながらの産物であったことも垣間見せる。また、結句には「我が顔を吹く」もあって、「秋の風」を吹かせるのを、「明治の青年」全体に及ぼそうとするか、あるいは、それを認識する話者自身のものとするかの選択肢があり、最後には、後者を採ったのだということを示している。(岩手大学教授)
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