2005年 1月 9日 (日)        

■  古里への恩返し ニューヨーク在住ピアニスト浅沼さんが演奏会

古里への思いを込めてピアノを弾く浅沼里香子さん
【写真】古里への思いを込めてピアノを弾く浅沼里香子さん

 盛岡市出身で米国ニューヨーク市在住のピアニスト浅沼里香子さんが7日、同市南青山町の西部公民館(小笠原弘榮館長)でボランティアのコンサートを開いた。同館の社会教育指導員、阿部みどりさんが中学時代の恩師に当たることから実現した。阿部さんの担当する講座「童謡と唱歌を歌う会」の受講者80人と一般の50人が演奏に聴き入った。

 バッハの「プレリュード」で開幕。「アメージング・グレイス」や「トータル・プレイズ」などのゴスペルのほか、「雨だれ」(ショパン作曲)や「献呈」(シューマン作曲、リスト編曲)など本格的なクラシックも演奏。「さくらさくら」や「ふるさと」などの日本の童謡は会場全体で合唱。自身がピアノの道を志したきっかけや、米国に渡った経緯などを話しながら和やかに演奏した。

 武蔵野音楽大学を卒業したとき、自分の中で「もうピアノは終わり」と思ったという。子供たちを対象にしたピアノの指導を仕事にしていたが、自身では練習もしなくなった。「このままでいいのかな」と思っていたとき、知人から米国行きを誘われた。

 その数カ月前に事故に遭い右手首を骨折していた。「手術しなければ治らないが、すればピアノは弾けなくなる」という診断だった。手術をしない道を選んだ。それが奇跡的に完治した。そのとき「神様から新しい手をもらった」と感じたという。世間勉強として渡米を決意、再びピアノの道を歩み始めた。

 世界中からそれぞれの思いを持った人たちが集まるニューヨーク。一つのことを求める厳しさは誰もが知っている。サポートし合おうとする気持ちも大きいという。県出身者で作る県人会や友人、知人の支えでここまで来たと思うと話す。

 厳しい壁に突き当たるたびに救ってくれたのは、母校の本宮小学校校歌の中の「本宮の道は世界に続いている」という一節と、飛行機もない時代に渡米した新渡戸稲造の存在。

 「岩手の先人が道を作ってくれた。ありがたい」と実感したという。「新渡戸のように、人のため古里や世の中のためになりたい」という夢に向かって歩いている。今はまだ道半ば。

 ピアノは「好き嫌いを超えて生きるために必要なこと」という。ピアノを通して人間関係や考え方、世界が広がっていく。「生きる道を教えてくれる道具」と思っている。

 1994年に渡米。99年マンハッタン音楽学校修士課程修了。2000年、カーネギーホールでのニューヨークデビューリサイタルを行い特別賞を受賞。現在はブリッジポート大学講師、ボーイズ・クワイヤー・オブ・ハーレムなどで伴奏を務めながら演奏活動を行っている。


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