2005年 1月 10日 (月)        

■ 〈盛岡の楽器職人を訪ねて〉4 黒澤和弘さん(三味線)

 盛岡市南大通1丁目の黒澤和弘さん(34)は、和楽器を扱う黒澤楽器店の5代目。箏演奏家の4代目、和雄さんと千賀子さんの長男だが、自身は演奏ではなく、三味線の皮張りや箏の糸張り、調整や修理を一人でこなしている。

三味線の皮を張る黒澤和弘さん
【写真】 三味線の皮を張る黒澤和弘さん
 幼いころから、和楽器とその音色の中で育った。三味線の皮張りを行う祖父のそばで、飽きずにその手元を見守りながら、いつか同じ仕事をするんだろうなと思ったという。

 いずれ家業を継ぐことを考えながらも、東京で理系の大学に進学。エンジニアとしてサラリーマン生活を経験したが、2000年に盛岡に戻り、翌年から本格的にこの道に入った。箏は父親の和雄さんが指導。皮張りは東京の職人について修業した。

 三味線の音の8割を決めるという皮張りは、あらかじめ湿らせておいた皮を、米を水で溶いたのりを使って、胴に張る。木栓という洗濯ばさみのようなものに皮を挟み、張り台の上に固定して四方からひもで締め上げていく。握力と背筋力をフル稼働して、きりきりと張っていく力仕事だ。

 三味線の皮は、最も高級な「四つ皮」といわれる猫皮と犬皮、低価格の合成皮の3種類。小唄や長唄に使う「細ざお」には猫皮、義太夫や民謡の「太ざお」には犬皮など、種類によって分けて使われている。

 薄くて弱い猫皮は張るのも難しい。小さなキズでも張っているうちにそこから破れてしまうため、作業に入る前の補修が必要。「張れば張るほど音がさえる」といわれる皮張りだが、猫皮の場合は繊細な力加減が要求される。

 津軽三味線に使う太ざおは、皮をたたいたり、大きな音を出したりと勢いのある演奏に耐えるために丈夫な犬皮を使用する。力勝負で張り応えはあるが、一番難しい作業でもある。

 この道に入って4年目だが、皮張りには到達点がないと思う。「名人でももっとうまくなりたいと思っている」という。三味線の製作はさお、胴、皮など分業化が進み、すべてを一人で作っている人はほとんどいない。「いずれは全部自分で作ってみたい」と思っている。

 同店は同市南大通1丁目3の13。電話番号は019−651−6390。


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