2005年 1月 11日 (火)        

■  奏でる賢治の幻想世界 賢治の会70周年記念で箏曲演奏

 宮沢賢治の会(吉田六太郎会長)の創設70周年を記念した「箏曲と賢治幻想」は9日、盛岡市の県民会館中ホールで上演された。音楽が好きだった賢治。歌や演奏の音楽からアプローチし、賢治の描いた幻想の世界に迫った。

 第1部は序章としてミニオペレッタを取り入れた合唱と朗読、第2部は琴の演奏という内容。県内音楽家を中心に舞台に上がった。

 箏曲演奏には黒澤千賀子さんと黒澤箏合奏団、盛岡二高箏曲部、佐藤叡子箏曲社中が出演。賢治の文学作品やイメージを題材とした川村利正(粋邦)の楽曲を主軸に演奏した。

 川村(1915〜76)は現葛巻町出身で幼少期に失明するも県立盲唖学校で琴を専攻して琴の道へ進んだ。演奏家、作曲家、指導者として活躍し、賢治の世界を愛した一人だった。花巻の賢治の親類関登久也宅で開かれていた生田流の教室に通っていた縁で賢治の人柄や世界を知った。ぜひ会いたいと願っていたが、賢治は既に病に冒され面会はかなわなかったという。

 しかし、川村は賢治の世界を音楽で表現し残した。その代表作と言えるのが55年に作った「イーハトーヴ協奏曲」。賢治がまだまだ今日のように知られる以前に作られたこの曲は、まぼろしの名曲とされる。

 賢治の会70周年を機によみがえり、黒澤箏合奏団によって演奏された。哀調の感じられる曲調ながら、伸びやかさと広がりのあるスケールの曲。岩手の大地と空、めりはりのある季節の移ろいが描かれているよう。黒澤千賀子さんの独奏を織り込んだ30人余りが美しい旋律を奏でた。

 黒澤箏合奏団主宰の黒澤和雄さんらの師匠となる佐藤叡子さんは10歳から川村に師事した直弟子。佐藤社中は太田代政男さんと将孝さん、敬子さんの親子3人の歌とともに川村が賢治の作品に曲を付けた「春と修羅」「母」、賢治の絶筆短歌となった「方十里」「いたつき」の4曲を演奏した。

 黒澤さんが指導する盛岡二高箏曲部は賢治の世界をイメージした「風と光と空と」などを演奏した。

 第1部は太田代さん親子の合唱、賢治の会会員の松野洋子さん(宮城県在住)の朗読。太田代さんらは「飢餓陣営」の一部をオペレッタで熱演。松野さんは「永訣の朝」などを情感込めて朗読した。


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