2005年 1月 14日 (金)        

■  〈舞台〉盛岡市民演劇賞新人部門賞受賞「意志と名簿」 現代時報

現代時報「意志と名簿」の舞台(Bキャスト)
【写真】現代時報「意志と名簿」の舞台(Bキャスト)

 現代時報の60minutes第2弾「意志と名簿」は8〜10日、盛岡市の大通リリオギャラリーで4回上演された。1年半前に初演した同作品。小田島尚行脚本の本作が第2回盛岡市民演劇賞新人部門賞を受賞したことで再演した。台本はほとんど変わりないが、キャストを一新して上演された。演出は劇団主宰の高村明彦。

 今回は2パターンのキャストで上演。小川洋(安斉)、三村永記(上村)、漆原一美(森)が両方に出演。Aパターンには大山役に蛇口仁志、小坂役に田中美圭、重野役に小川嘉文が出演。Bパターンでは大山役に吉田裕太、小坂役に前川寛子という二人の高校生、重野役に高橋直幸というキャスティングになった。

 情報調査会社シャルロークの入社試験会場に上村、大山、森の3人が現れ受験。会社の小坂と安斉が試験官。シャルロークは個人情報を調査し依頼主に提供するのが業務。合法と違法のボーダー付近で行っている。試験は個人情報を収集する実践的な内容。受験者は名簿などを入手し個人情報を集めていく。白黒をはっきりさせる小坂とちゃらんぽらんに見える安斉との掛け合いで物語は展開する。

 しかし、試験は新人社員の採用が目的ではなく、試験官のうちの一人を解雇するのが目的だった。それぞれが最後に決断を迫られる。シャルロークで働くかどうかの。

 成否など物事が明白なとき、意志はほとんど介在する必要はない。法ぎりぎりの業務をするシャルロークのように、ボーダーなところにある人こそ個々の意志が求められる。何を選択するのかの決断と言い換えられる。

 結局、会社に解雇を言い渡される安斉も含め、自らの意志で試験官は会社を辞め、受験者は入社の機会を断つ決断をした。ちゃらんぽらんで優柔不断に見える安斉も会社の決定を受け入れようと決めていたのだ。

 結果こそ会社を拒否した5人だが、その意志決定まではそれぞれの信条や歩んできた道によって異なる。上村は友人とやっていた店を、友人に負債を全部押しつけられてたたんだという、だまされた過去を持つ。上村は入社のため、大山の入手した名簿を盗み発覚する。しかも、友人に知恵を付けたのは小坂だったと判明。自分がだますのは正しくて、だまされるのは許せないと叫び居直る。

 だますのを是認する小坂と、安斉は真っ向からぶつかる。意志のはっきりしている小坂に安斉は意志を明確にする。このときの安斉や道理の通らない論を展開した大山が、実は人間的なものを出している。単純に割り切れなかったり即決できない部分、つまりボーダーな心境に人間味がにじみ出る。

 60minutesは気軽に芝居を見てもらおうと、見る側にも見やすい1時間を上演時間としたシリーズ。


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