2005年 2月 1日 (火)        

■  自伝小説を加えて自分史 工藤栄市さん

  元盛岡市議工藤栄市さん(76)=同市大館町=は自叙伝として「あの日あの時 第2集」(私家版)を発行した。市議引退後の1991年にまとめた「あの日あの時」は政治に焦点を絞った内容だったが、第2集は自身の生い立ちからたどった。政治家としてだけでなく「自分の生き方、人のために尽くし、人に喜ばれるのを望んでいた自分を分かってもらいたくて書いた」という。

     
  「あの日あの時 第2集」を発行した工藤栄市さん  
 
「あの日あの時 第2集」を発行した工藤栄市さん
 



 工藤さんは90年まで市議を4期務めた。引退すると決めたあたりから、人の勧めもあって「議員時代に悔しい思いもした。市民に本当のことを分かってもらいたいという思いがあった。政治の世界の表に出ないところで事実はどうなっていたかと、毎朝ワープロに向かって原稿を打った」。それが「あの日あの時」だった。

  「文章を書くことに縁のない人間で、まったく自信がなかった」が、公民館の自分史講座を受講しながらまとめあげた。

  完成後「これだけでは、わたし自身の考えをすべて著したことにならない。自分の生きざまを、政治家を目指した根本的なもの、政治家になる前のこの地域の活動などから分かってもらいたくて書きたくなった」という。今度はパソコンを使い原稿を打ち込んだ

  新著は「親の心子知らず」「農業と私」「妻と私」「地域と私」「健康と私」「保護司雑感」「小説六十年の片想い」と章立てられ、生い立ちから就職、就農事情、結婚など、議員活動を除くこれまでの人生を網羅している。

  異色なのは小説。自伝小説で一部は事実に基づいている。昨年夏ごろ、たまたま畑のところで話をした男性が、工藤さんが戦中に仕事をしていた長野で同じ時期に暮らしていたことから、長野のことを思い出したのがきっかけ。小説では畠山という男で登場し、一郎という男が工藤さんだ。

  畠山の妻が長野にいたころ親しくした女性だというのはフィクションだが、9割がたは事実。何十年と思い出すこともなかった淡い恋の思い出だ。

  改めて人生を振り返り再発見があったという。「そのときは単に先輩の言うがままに動いたと思っていたことでも、自分の意思で動いていたのだなあと感じている。そのことが人間として成長させる要因になった。いやだと思ったことも、しみじみとありがたかったと思う」と工藤さん。自分史という意味ではこれで終わりと話す。

  表紙や挿し絵には自身の水墨画が使われている。


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