2005年 2月 3日 (木)        

■  平田オリザさんが中学校の教壇に 国語の授業で生徒が演劇体験

     
  平田オリザさんを講師に迎えた芝居づくりの授業  
 
平田オリザさんを講師に迎えた芝居づくりの授業
 

 劇作家で劇団「青年団」主宰、平田オリザさんが教壇に立っての芝居づくり授業が1〜2日、盛岡市の岩手大学附属中学校(小笠原義文校長)で行われた。中学2年の国語教科書に掲載されている芝居づくりの単元は、平田さんの手によるもの。教材の作者自らが指導に当たった。9日から盛岡で上演される芝居のアーチスト・イン・レジデンスの一環で実現した。授業を通じ、芝居や表現の楽しさを生徒に呼び覚ますとともに、言葉への意識を植え付けた。

 平田さんの教材は三省堂の2年の教科書に載っている。2年生は既にこの単元を終了しているため、1年生の各学級を対象にワークショップ形式の授業が行われた。

  テキスト(台本)はある朝の教室内。生徒が会話していると先生が入ってきて、転校生が紹介される。転校生への質問が出されたあと、先生は職員室に戻り、転校生を交えた生徒の会話が始まるという内容。

  授業では6〜7人の班ごとに配役を決め、せりふを一部脚色しながら演じるまでが一授業。さらに今回は中学校でのワークショップ指導の経験が豊富な演出家、詩森ろばさん(劇団「風琴工房」主宰)の体を動かす内容が1授業となった。

  この台本のせりふはところどころに虫食いがあり、班ごとに言葉を埋めていかないと対話が成立しない。平田さんは併せて、話の展開に抑揚を付けたり役者を増やしたりしてもいいと説明し、生徒が自発性や創造性を発揮できる部分を与えた。「せりふを変えるのは自分だったらどういうか考えて。自分のせりふにすることが大事」と強調した。

  詩森さんの指導はストレッチや幾つかの集団ゲーム。体を動かすことやコミュニケーションの取り方など創作の初歩のエッセンスを遊び感覚の中で注入していった。

  双方の授業を経た生徒の次の授業は班ごとの台本づくり。テキストの朝の教室内という状況設定は同じで、先生が来て転校生を紹介する部分と教室を離れる部分を残し、最初の生徒同士の会話、転校生への質問内容、先生が離れたあとの会話の部分を生徒たちで考えた。すぐに発表会になり班ごとに芝居。

  出来上がった台本は、短期間にもかかわらず、個性のある登場人物像を作り上げたり、前後の会話が相関するような工夫が見られたり、台本にあるせりふの間に相づちや独り言を入れたりなどの脚色が評価されていた。

  教材が教科書ではなくプリントで渡されたこともあって、授業を受けた生徒たちからは「国語の授業には思えない」「休み時間のよう」などの感想。「自分で最初から最後まで作ってみたい」と、演劇表現の魅力を知った生徒もいた。

  国語でこのようなワークショップはきわめて珍しい。教科書の台本をやるだけで自作劇まで発展させているのは少ないという。

  平田さんは「小説では長く説明するようなことでも、演劇では一言でその人の人生を語ることができる」と、言葉の持つ力の強さを意識させ「芝居は見るだけではなく、自分たちで作れ、日常の中でも芝居はできる。言葉遣いは生徒だけのときと、先生がいるときではちょっとずつ違うはず。言葉のことを少しでも考えてもらえば、これから国語の授業は面白くなるだろう」と生徒に語った。

  平田さんは「国語の授業とは思っていない。表現という教科があれば表現でやるのがいい。表現教育で大事なことは教えることではなく、遊びの中で学んでいくこと。現代の子供たちはゲームやインターネット、塾の方で忙しく体をぶつけていくことがない。そういう経験をさせるのに芝居は向いている」という。

  授業では笑うだけでなく泣いたり怒ったりした生徒もいた。「子供たちは表現したいという気持ちがない。それが、次第にやりたいという気持ちになってくる。そのことが大事」と話している。


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