盛岡市が認可している公立保育所、私立保育所の保育士の平均給与額が年間で200万円以上の差があり、職員配置に占める正職員数の割合も10%以上の開きがあることが、このほど開かれた市公立保育所のあり方を考える検討委員会(委員長・雫石礼子県立大社会福祉学部教授)で示された。公立、私立とも良質な保育を目指し努力を重ねているが、職員の労働条件を含め、経営面では厳しい環境に置かれている私立保育園が少なくない。
この日の委員会には保育関係者や父母の代表、小児科医ら委員7人が出席。市側が資料として公立保育所、私立保育所の保育士の配置状況や児童一人当たりの保育にかかる軽費、東北6市の保育所数の比較表などを示し、それをもとに意見を交わした。
資料によると、03年4月の調査で市内18の公立保育所の正規職員は保育士、看護師、調理員、用務員なども含め計254人、平均給与額は約599万円。24の私立保育所は職員339人、平均給与額は約396万円だった。
職員の平均年齢は公立が41・1歳、私立が36・5歳。職員に占める正職員の割合は公立66%、私立54%。特に私立保育所では一時保育や延長保育といった特別保育に行政から支出される補助金が保育所全体の経営を支えている側面があり、経営的に十分な数の正職員を抱えられない一方で、臨時職員を雇用して特別保育に対応している実態がある。
職員の人件費に開きがあるため、児童一人当たりの保育にかかる軽費も60人定員の場合で公立が月額14万5598円、私立で10万7857円と差が広がった。
同市私立保育園長会の松尾志保子委員は「正職員、臨時職員にかかわらず、子供を育てる熱意によって保育は支えられている。給与が低いからといって保育内容が劣るということは決してない。ただ、公私の格差が子供の処遇の差となって表れるようになれば問題」と指摘した。
ほかの委員からは、コストを中心に保育所の問題が論議されることについて「人を育てる大事な部分を費用対効果で議論すべきでない」との意見や「ほかから財源を回しても現状の保育体制を確保し、公私の格差はできる限りなくすべき。公立保育所が一定の保育の質を維持していくことが私立を含め全体のレベルを上げていくことにつながる」といった発言があった。
国が規定し、補助金の査定にもかかわる保育士の配置や保育室の広さなどの最低基準について「あまりにひどく、基準通りでは健全な子供の育成はできない」と現場の実情を訴える発言や「公立保育所だけに配置されている用務員の仕事は、私立であれば保育士や園長が代行している」など市全体の職員構成も含めて検討が必要との意見もあった。
検討委員会は、公立保育所への国の補助金の一般財源化など、保育を取り巻く財政が厳しさを増す中、良質な保育サービスをいかに維持していくか検討するため昨年9月に発足。今年度内に提言をまとめる。
市の行財政構造改革の方針では、公立保育所も民間委託可能な業務に位置付けられており、検討委員会の提言をもとに今後の方針を決定する。
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