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昔あったど。ある男が町さ行くべと思って行ったれば、村境の峠で、4、5人の子供がキツネをつかまえ、四足を縄でしばってひどくいじめていたど。
その男それ見てキツネをひどくあわれに思って、「やぁ、やぁ、兄だちや、そのキツネを俺さ売らねぇが、ここに銭百文あっから」で、子供たち男さ百文で売りつけたど。
男はキツネをおぶって松山の中さ行って「これこれキツネよ、昼日中に里辺などさ来るんでねぇぞ。さぁさ早く家さ帰れ」て言って木立の茂みの中さ放してやったど。
キツネはさもさもありがたそうに涙コ流し男の方をふり返り見い見い奥の方さ入って行ったど。
男は用達を終わってそこを帰って来たれば、今朝のキツネが娘の姿に変え「今朝は危ない命を助けられてありがたかったす。そのお礼に自分を遊女に売ってくだされ」と言ったど。男は「そんな心配いらねぇ」と言ったずどもキツネの娘はあまり強く言うので、男は娘を江戸さ連れてって吉原の遊女屋さ三百両で売ったど。
その女はよいという評判で大層多くの客来があったど。それから1年たったど。遊女屋から遊女が死んだから死体を引き取りさ来いという知らせがあったど。男は死体を引き取りさ江戸へいったど。
遊女屋の主人が「あの娘は1年で死んでしまったが、5年分の儲けがあったから」と言って荷物と五十両をくれてよこしたど。死体を引き取って帰る途中だったど。娘は生き返ったど。
娘が「遊女屋さ損をかけねぇで、あなた様に恩返ししたから、神に祭ってくだされ」と頼んだど。男は家の裏さほこらを立ててそのキツネを祭ったどさ。
どんとはれ
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