2005年 3月 1日 (火)        

■  わき出る力のリズム 番田雄太君が作品展

     
  会場で自作が展示されている様子を見る番田雄太君  
 
会場で自作が展示されている様子を見る番田雄太君
 

 盛岡市の青山養護学校高等部の番田雄太君(16)の書道作品を集めた作品展が7日まで、同市のイオン盛岡ショッピングセンター2階イオンホールで開かれている。番田君は交通事故により首から下が不自由になった。松園養護学校中等部在籍中に書道と出合い、筆を口に加えて書作に励んでいる。力強くてたくましく、一方で強弱に富んだ表情豊かな作風が見る人々に感動を与え、作品は全国の舞台で数々の賞を受けている。

 主催はアクセシブル盛岡。石川紀文代表は松園養護学校の玄関で初めて番田君の作品を目にし「良い作品を書くなと思った」という。作者を知ったのはあとからだった。「たくさんの方の協力で開催できた。心を込め1画1画書いた書はきっとたくさんの人々の感動を呼ぶと思う。多くの人が心を一つにすることを願ってやまない」と話している。

  番田君は93年、交通事故に遭遇。中学1年のとき、現県立盲学校の高井縁先生と運命的な出会いをし、書を始めた。横になった生活で唯一、物を持つことのできる口に筆を加え、顔を横向きにして筆を走らせる。

  その筆致は、手で書いた作品と変わらず、墨の濃淡やかすれなどで1枚の中に抑揚やリズム感を生み出している。01〜03年まで肢体不自由児・者の美術展で文部科学大臣奨励賞など3年連続で受賞し、実力を認められている。

  今展では色紙大から横幅の和紙に描いたものまで約30点を展示。その多くは石川啄木の遺した短歌や文章で「啄木との出会い、そして未来」の副題が付けられている。同美術展で受賞した「不来方のお城の草に〜」や「岩手山秋はふもとの三方の〜」などを見ることができる。

  初日の2月29日はオープニングセレモニーに出席し、自分の作品だけで埋められた会場を初めて見た。会場と同時に入場した市民や報道陣に戸惑いや驚きを見せていたが、笑みを浮かべ喜んでいた。

  父の光雄さんは「唯一の創作活動が口を使って書くこと。制作するようになって表情が豊かになってきた。作品展を機会に次を目指して制作に熱が入るよう期待している」と話している。

  高井さんは高等部進学後も書を指導。中学1年に始めたころ、このような作品展を開催することはまったく想像も付かなかったという。「手では決して書けないもの」と、番田君の個性を語る。


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