2005年 3月 3日 (木)        

■  賢治童話のカット絵展 中村茂さんと慧子さん

     
  中村茂さんの作品「やまなし」  
 
中村茂さんの作品「やまなし」
 

 盛岡市山岸の中村茂さんと娘の慧子さんによる初めての親子展「賢治童話のカット絵展」が17日まで、同市本宮4丁目のカフェ・クリンゲン・バウムで開かれている。アクリル絵の具を使った茂さんの作品10点と慧子さんの作品5点が展示されている。

 「セロ弾きのゴーシュ」は、幼いころの慧子さんに初めて読んで聞かせた思い出の作品。「ゴーシュに絶対音感を身に着けさせた」というカッコーとの訓練の様子を生き生きと描き出した。
  「やまなし」を題材にした作品は3点を出展。1点は滝沢村の森林公園で見つけた小さな谷川をモチーフに、その傍らに春の花を咲かせているヤマナシの木を配置した。
  北上山地を歩いていると、谷川の脇に生えるヤマナシの木を見掛けるという。ちょうど実が流れに落ちるようになっている位置。遠くまで子孫を運ぼうという自然の知恵と、賢治の観察眼の確かさを実感した。
  「クラムボン」には「盂蘭盆(うらぼん)」を掛けているのではないか。「今に生きる現世の命と向こうの命が盂蘭盆でつながれているということを賢治は語ったのかな」と思って制作した。
  慧子さんは同じ題材で、小さな画面に泡の大きさを競い合う兄弟の姿を幻想的に描いた作品を出展している。
  これまで数多くの作家が描いてきた賢治の世界。茂さんは「賢治がどこでストーリーを思い付いたか」という点にスポットを当て、当時賢治が実際に歩いた同市周辺の山に入って構想を練った。今展には「賢治の内的世界と、その着想のきっかけになった現実の空間とをつなぐ何かを、自分たち親子が訪ねるというイメージ」を持たせている。
  実際の制作に入る前に、それぞれの作品を何度も読み込んだ。わずかな時間にも刻々と変わっていく自然の描写や、リズム感とハーモニーのある音楽性の豊かな文章に改めて感動。「便利な世界の現代人は大きなものを失った。賢治をはぐくんだ風土そのものをもっと大事にできないか」というメッセージも込めている。
  「今回は入門させてもらったという感じ。今後も賢治作品に取り組んで、21世紀の子供たちに伝えたい」と思っている。
  午前11時から午後9時まで。月曜日は定休。5日は同会場で賢治作品の朗読会を開催。午前11時からは佐々木悦子さんら3人が「よだかの星」などを担当。午後2時からは千葉康男さんが「春と修羅」を朗読。
  問い合わせは同店(電話番号は019−656−5606)まで。


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