2005年 3月 4日 (金)        

■  〈美術〉揺らぎの感覚を映像に 奈良桐人さんが初個展

     
  DVDを使った6分の映像作品「眩2004〜05」  
 
DVDを使った6分の映像作品「眩2004〜05」
 

 滝沢村の奈良桐人さん(28)の初めての個展が5日まで、盛岡市上ノ橋町のギャラリー彩園子Uで開かれている。DVDを使った6分間の映像作品「眩2004−05」を、会場壁面にプロジェクターを使って映し出している。
  タイトルにはめまいや立ちくらみ、まぶしさなどの意味を込める。岩手山焼走りで撮影した映像には画面の点滅や反転、速さの変化を織り交ぜ、滝の音を使った音響を不安感をあおるように効果的に使っている。

  学生時代には彫塑を専攻していたが、自身の表現媒体として映像を選択。第一作目となる今作には「知覚を飽和状態にしたとき、人間はどこまで見ることができるのか」という実験の意図を込める。

  現地の四季折々の風景を3年をかけて撮影したが、使用したのはほとんど雪景色。青森県の豪雪地で生まれ育った奈良さんにとって、立っていられないぐらいの吹雪になるという原風景が作品の中に現れたと思う。

  現地での撮影はカメラを手に持って歩きながら行った。最初は黙って立っていたが、呼吸に合わせて自然に画面が上下。意識していても「体が反応し切れなくなって」生じてしまうぶれが面白いと思った。

  地面の凹凸を拾ったり、手の震えで水平、垂直方向に揺れる画面。普通は失敗と見なされるような映像の素材をわざと使って制作した。

  壁面に映し出した画面と同じ大きさ(3・6×2・7メートル)の透明なアクリル板を、そのすぐ下に設置。画像が板上に反射するようにして「浮遊感や不安感、固定したものを揺るがせる感覚」を表現。画像と鑑賞者との間の空間を、鑑賞者の方に引き寄せる効果も狙っている。

  「作品は過激と取られるかもしれないが、威圧的な作品は作らなくてはいけないと思っていた。作品を見た後に外に出たとき、普通のことがいいことだと思ってもらえれば」と思う。

  次作では「鑑賞者の体に浸透していくようなものを作りたい。周りの空間が変わるような、別の感覚を覚えるようなものに挑戦したい」と話していた。

  午前10時から午後7時(最終日は同5時)まで。


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