2005年 4月 3日 (日)        

■ トリアジンチオールバレー構築構想を発表 岩手大の森工学部長

 岩手大の森邦夫工学部長は、硫黄有機化合物の一種・トリアジンチオールを自動車関連産業に応用し、県の産業発展を目指す「北上川流域トリアジンチオールバレー構築構想」を発表した。「岩手で採れる漆が英語でJapanと称されたように、トリアジンチオールが第2のJapanと称されるようにしたい」と語った。

 構想は、今年度末で3カ年の事業を終える文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業の最終報告会で、初めて発表された。3カ年の事業で取り組んだ金属表面の「有機ナノ薄膜」研究は、高密度配線基板、薄膜コンデンサーなど、次世代の電子部品に応用できるという。

  森工学部長は、金ケ崎町の関東自動車工業岩手工場(本社・神奈川県)が大幅増産を決めたことを受け「自動車関連産業が、これからの岩手の産業になる」と主張。 「自動車産業は電子化、軽量化が一層進み、機械産業というより電子産業になっていく。そこで、岩手発のトリアジンチオールを役立てたい」と論を展開し、「北上川流域は、岩手県の背骨。ここにトリアジンチオールバレーを構築、一大産業にしたい」と述べた。

  そのための手段として▽文科省、市町村と連携しながら「融合化ものづくり研究センター」を盛岡、花巻、北上、水沢に立ち上げる▽ニーズ対応型ではなく、ニーズ先見型・製品提案型の企業群を育成する▽岩手大学内に研究拠点を整備し、工学部大学院には「ものづくり専攻」を置く(06年度設置申請中)と説明。

  バレーの研究拠点になるものづくり研究センターは、同大と相互友好協定を結ぶ東北本線沿線上の市が中心。構想では、盛岡が高機能部品、一関が次世代配線技術、水沢が自動車車体の軽量化のためアルミニウム、マグネシウム複合体を担当する−などとした。

  森工学部長は「岩手県はひとつの研究所。岩手県株式会社こそが、トリアジンチオールバレー構築の理念。企業を育て岩手からの自動車部品調達率を向上させながら、進行する過疎化を食い止めたい」と話した。

  【トリアジンチオール】
  硫黄有機化合物の一種。岩手大工学部応用化学科が世界で初めて実用化に成功した。有機物、金属イオンと化学結合しやすく、金属の表面処理分野で応用される。接着剤を使わない接着技術として注目され、薄膜コンデンサー、プリント基板などに応用されている。


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