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録音版世界童話全集を完成させた岩手音声訳の会の伊東雅子会長(前列左)とメンバー |
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NPO法人岩手音声訳の会(伊東雅子会長)がこのほど、2002年度から取り組みを始めた録音版世界童話全集を完成させた。31作品、上下巻を含め全37冊からなる福音館書店の世界古典童話シリーズを採用。97人の会員のうち、約30人の読み手と、15人の校正者、5人の修正確認者の合わせて約50人が携わった、同会発足以来の大プロジェクト。「視覚障害の子供たちにファンタジーの世界を楽しんでもらいたい」という会員の思いが、90分テープ299巻に及ぶ大作の実現につながった。
一般的に録音図書は大人向けが多いという。医学の進歩で先天性の障害者が少なくなり、盲学校に通う生徒が減少したことから、中途失明の大人向けの図書の音訳が中心になってしまうからだ。
その状況の中、会員から「古典童話はずっと読み継いでいくべき人類の財産。全集の音訳は資料的な価値もある」という声が挙がり、取り組みを決定。「自分たちで全集を買ってもいいから、どうしてもやりたい」という熱意が、県立点字図書館の小野寺俊彦館長(当時)を動かし、同館での全集購入を決断させた。それを基に音訳が始まった。
作品は「アーサー王と円卓の騎士」や「西遊記」「アラビアンナイト」など、世界各国の子供たちが心躍らせて読んだ古典の名作。それぞれの作品の朗読は原則一人が担当。すべての録音が終わった段階で、2人がアクセントや誤読を校正。修正して録音し直したものを担当者が確認して完成となる。
子供向けということで、今回は特にアクセントなど正確な読み方に気を付けた。質の高い作品の完成に向け、校正者もより厳しい態度で臨んだという。
「子供たちのために」と始めた音訳だったが、読み手をはじめ、かかわった人たち自身も、物語の面白さに夢中になった。事務局の前田清子さんは「秘密の島」(上下巻)を担当。「生きるための知恵と勇気、仲間への愛情などが詰まっている物語。自分もわくわくして読みながら、古典の持つ力を感じた。子供だけではなく大人も楽しめると思う」と感想。
全集として完全な形で製作された児童書は、全国的にもほかに例がないという。今回完成したテープとCDは同図書館の録音図書として利用されるほか、各地での貸し出しも行われる予定。伊東会長は「50人が3年をかけて完成させたものなので、達成感がある。利用者の反応が待ち遠しい」と話している。
同会は1968年(昭和43年)に朗読奉仕グループ親和会として発足。74年に岩手朗読奉仕会設立。92年に現在の名称に変更。2002年にNPO法人の認証を受ける。
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