電車派、自動車派。こどものころ、どっちでしたか? 駅前にまだ空地があったころの東京郊外、スーパーで買った今川焼きなぞほお張りつつ、高台にあったその空地の突端でオレンジ色の電車の行き来を飽きもせず見ていたワタクシ、まちがいなく電車派でした。その遺伝子はわが子へと受け継がれ、たかどうかは判然としませんが、休日ともなれば自宅裏の土手、線路を見下ろす観測ポイントまで子供の手を引っ張って出たりするのであります。…今週の一冊は、海外にもいるいる、電車見物にいそしむ仲良し親子のひとときです。
線路をまたぐ橋の真ん中、いつもの場所に陣取った父親と姉弟。森の静けさの中、コンサート開演前のようなワクワク感。やがて赤信号が緑に変わると、地平の彼方、ぽつんと現れたが早いか、みるみる近づく列車。いつの間にか集まっていたギャラリーともども、かたずを飲んで迎える緊張の一瞬。そしてとどろく警笛、巻き上がる風。足の下を猛スピードで走り抜けていく至福の時間の、なんと短いこと!
父と子、休日のちいさな冒険。…思い出の種は、きっと大きな幹へと育っていくのです。
【今週の絵本】『でんしゃがくるよ!』S・ヴォーグ/作、竹下文子/訳、偕成社/刊、1470円(税込み)4歳〜
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