2005年 4月 7日 (木)        

■  県立大学入学式・谷口学長式辞 「夢は達成できる」

     
  入学式であいさつする谷口誠学長  
 
入学式であいさつする谷口誠学長
 
  本日、増田岩手県知事をはじめ、ご来賓の方々のご出席を得まして、岩手県立大学の入学式を執り行うことができますことは、私の喜びとするところでございます。

  まず、新入生の皆さん、入学おめでとう。教職員一同皆さんを心から歓迎いたします。そして今日まで新入生の皆さんをこのように立派に育ててこられたご両親、ご父兄の皆様にも、衷心よりお祝いの言葉を捧げたいと思います。

  新入生の皆さんは、それぞれ新しい夢と希望を持って入学して来られたことと思います。私も皆さんと同じように、新しい夢と希望を持って、この岩手県立大学にやってまいりました。この大学の建学の精神を活かし、皆さんと共に学び、共に語り、共に努力して、岩手県立大学を、岩手県のみならず、日本に、また世界に通用する、価値ある大学に育てたいという夢です。これはけっして達成できない夢ではありません。私たちが一歩一歩努力を積み重ねることにより、この夢は達成できると確信しています。

  皆さんもご存知のとおり、岩手県は、この夢を達成するための素晴らしいDNAに恵まれています。しかしこの素晴らしいDNAも、たゆみなき努力と忍耐、そしてチャレンジ精神が無くては、実を結ぶことはできません。岩手県が生み出した偉大な先達が、立派な仕事を残すことができたのも、このような努力があってのことでしよう。したがって私がまず皆さんに期待することは、根気よく、粘り強く努力し、皆さんが皆さんの中に持っている、素晴らしい岩手県のDNAを開花させることです。

  新入生の皆さんは、今日から4年間、この大学で学ぶことになりますが、私は皆さんにこの4年間で次のようなことを学び取り、自分のものとして得て欲しいと望んでいます。

  第1に、この4年間で「自分はこの人生で何をなすべきか」「自分には何ができるか」をしっかりと見極め、自分の適性を見出すことです。人は生まれながらにしてそれぞれ素質と個性を持っています。それらを見出し、育成していくのは、われわれ教職員に課せられた責務でしょう。皆さんには、われわれ教職員の持つ知識と経験を、貪欲に吸収してほしいのです。そうすればおのずと「自分は何がやりたいのか」「何に向いているのか」が、見えてくるでしょう。

  第2に、4年間という期間は長いようでも、実際の勉強時間は短いのです。その限られた時間の中で、それぞれの分野におけるしっかりとした基本理論を身につけてください。野球でいえば、まず、直球を投げることをマスターすることです。最初からカーブやナックルを投げるような技巧派ピッチャーは大成しないのです。基本をしっかりとマスターしていれば、社会に出てからも、色々な応用問題に対応できますが、その逆はできません。「学問は一生のこと」です。学生時代には、じっくりと基本的考え方を身につけてください。

  第3に、私の経験から申しましても、大学時代に得た師弟の関係、また友人との交友関係は、後の人生において、非常に重要な意味を持つことになります。先ほど「学問は一生のこと」と申しましたが、「師弟、交友関係も一生のこと」でしょう。この大学において、一生つき合うことのできる、素晴らしい「師弟、交友関係」を結ばれることを期待しています。

  第4に、私は長い間、国連や、OECD(経済協力開発機構)などの外交・国際関係の仕事に従事してきました。皆さんもこれからグローバル化の国際競争の荒波の中で、生き抜いていかねばなりません。そのためには、この大学において、国際的にも通用する、たくましい個性と能力を養っていただきたい。そしてその個性と能力を、自分の言葉で外へ向かって発信できる表現力を身につけていただきたいのです。すでに述べましたが、岩手県は、国際的に活躍した貴重な人材を輩出してきました。そのDNAを受け継ぐ皆さんには、自信を持って国際的にも羽ばたいていただきたい。若いときにこそできる、自由な発想法を身につけていただきたいと思います。

  近年、日本は、かつての高度成長期から低成長期に移行しつつあるため、自信を失っているように見受けられます。しかし私は、21世紀においても日本が教育に力を入れ、科学技術水準をたかめ、また、独創性と個性があり、リーダーシップを発揮できる人材を育成していけば、規模のうえでは大きくなくとも、質の高い、人間性に満ちた真に豊かな経済、社会が構築できると信じております。将来の日本を背負って立つ若い皆さんは、豊かな未来を築くため、ぜひ、自信を持ってチャレンジしてください。

  最近、人々の考え方は、グローバリゼーションによるメガ・コンペティションの影響で、人間の温かさを失った「マーケット原理主義」に走る傾向があります。私は経済学を学んできましたが、私がかつて学んだケンブリッジ大学の経済学者であったアルフレッド・マーシャルが言った「cool head,but warm heart」(説明=冷静なる頭脳と温かい心)という言葉を常に心に刻んでおります。皆さんもどの学部で学ばれるにせよ、常に温かい人間性を養ってください。

  本学も今年から公立大学として、新しいシステムの下で出発いたします。この機会に本学も、これまで培ってきた特徴を活かし、4学部の連携を強化し、学際的な効率を高めていきたいと考えております。そしてさらに、盛岡短期大学部、宮古短期大学部との連携を深め、岩手県立大学全体の価値と存在感を高めていきたいと考えております。この点に関し、増田知事はじめ、ご臨席各位のご支援、ご協力をお願いいたします。本学は、日本国内でも高く評価されている「ソフトウエア情報学部」を有しております。この学部の強化はもちろんですが、他の3学部「看護学部」「社会福祉学部」「総合政策学部」も、社会のニーズに合わせ、一層強化していかなければなりません。そしてそうすることによって、本学が、岩手県のみならず、日本全体の経済、社会の活性化に一層の貢献ができると確信しております。

  以上、新入生の皆さんを迎える入学式に当たり、私の夢と希望、新入生の皆さんへの期待を述べましたが、岩手県立大学はまだ若く、やっと8歳になったばかりです。しかし若いからこそ、未来があります。新しい時代のニーズに合った、多様性と独創性のある大学に発展できると確信しております。

  最後に、この美しい自然に恵まれたキャンパスで、皆さんがよき師、よき友に恵まれ、有意義な学生生活を送り、そして人間として健康で、たくましく成長されることを祈念して、私の式辞といたします。
  ご静聴ありがとうございました。


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