2005年 4月 8日 (金)        

■ 学ばないことは権利の放棄 砂山・岩手大人文社会科学部長に聞く

     
  砂山克彦人文社会科学部長  
 
砂山克彦人文社会科学部長
 
  −人社が育成を目指す人材像は。

  砂山 今の人社は、法学なら弁護士といった専門家を育てるレベルを満たせていない。法科大学院設置構想を白紙にしたことは残念だが、法律を学べば法律的な考え方ができ、経済を学べば経済的なアプローチができる人社の特徴に変わりはない。しっかりとした専門分野を持ちつつ、ほかの分野からのアプローチもできる。総合的な視点を持ちながら、なおかつ柔軟な対応ができる人材を育てたい。

  −法科大学院のように一つのことに詳しい専門家が求められているのでは。なぜ広く学ぶことを重視するのですか。

  砂山 複雑化する社会では、一つの視点では解決しない問題が増えている。例えば、家庭内暴力がそうだ。法律だけでは、根本的な解決はできない。そこで、さまざまな視点や考え方が出てくる。大切なのは、違う価値観から生まれた考えを理解し、受け入れることができるかだ。そのためには広く学ぶことが有効だ。

  −多様な価値観を認めることですね。そのための取り組みは。

  砂山 人社には、人間科学、国際文化、法学・経済、環境科学と人文・自然科学合わせて4課程がある。4月から専門とは違う分野を学ぶことを奨励し、卒業時に主専攻と副専攻として認定したい。例えば、法学を主専攻、経済を副専攻とするなど。しばらくは試行期間を設け、義務化を考えていきたい。

  −不祥事の影響か、今年の人社の入試倍率は過去最低を記録しました。

  砂山 少子化が進み、学生が大学を選ぶ時代になった。大学でどういう力を付けられるかを受験生に示し、新しい試み・発想に挑戦し続ける学部であることを理解してもらうことが必要だろう。

  −専門は労働法とのことですが。

  砂山 岩手に来た当時、県内を回り、労働者に労働法を教えた。そこで、各地の工場、会社を見学し、雇用問題にも取り組んだ。人件費が安いからと岩手に誘致された企業がさらに人件費が安い外国へ出て行き、優秀な人材が県外に流出する様を見てきた。岩手の企業の足腰を強くしなければというのが、長年の実感だ。岩手の企業で労働者が安心して働けるように。人社は、優秀な人材を育てることで貢献したい。

  【略歴】砂山克彦(すなやま・かつひこ)、新潟県上越市出身。67年、東北大法卒。69年、同大学院法学研究科修士課程修了。岩手大教養部助手、講師を経て、77年に人文社会科学部助教授、89年同教授

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