■ 異例の若さに改革の期待 岩手大学農学部長藤井克己教授に聞く
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岩手大農学部の藤井克己学部長 |
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岩手大学農学部の新学部長に藤井克己氏(52)が就任した。日本初の高等農林学校として創設された農学部103年の歴史を見ても、52歳のリーダーの例はない。学部長選挙では、並み居る諸先輩を大差で下し、当選を果たした。「10年後を見据え、若手に経験を積ませたい」と言う若きリーダーは、宮沢賢治を輩出した組織をどう導くのか。藤井学部長に聞いた。
−就任の抱負は。
藤井 選挙で選ばれたときは、寝耳に水。研究を続けたいという思いがあったし、昨年初めて経験した管理職の大変さが身に染みていたので、かなり悩んだ。若手が自分を押したのは「意見が通る組織にしてほしい」という願いからだと思う。それは、かつての自分の悩みと同じと、引き受けた。10年後に力を発揮する30代、40代の若手に力を貸してもらい、学部の基礎固めをしたい。
−学部の基礎づくりでは、何が一番大切ですか。
藤井 大学教員は我流の知識体系や研究手法を学生に押しつけることが目立つ。教員免許を持たずに教育をする我々は、教育に関しては素人同然。特に技術者は、どこで、どんな教育を受けたかが問われるだけに、教育の質を保証しなければならない時代になった。
3カ年計画で日本技術者教育認定機構(JABEE)に申請したのは、その一環。学生を自分の研究のための労働力と見ているような教授にもはや学生はついていかない。よき研究者がよき教育者であり、その逆はない、というのがわたしの信念。第一線で研究をしながら教育もしていく。公平な目で学生を育て、一定のレベルまで引き上げられることが教員の最低条件になるだろう。
−教育改革が必要ということですね。農学部の現状をどう見ますか。
藤井 全国屈指の伝統と実績を誇る、いわば金看板で全国的な評価も高い。しかし、歴史と伝統は、時としてこう着を生む。20年前、初めて岩手に赴任した時、控えめと感じた県民性と大学の姿とが重なる。宮沢賢治ブランドなどいいものを持っていてもそれは、もろ刃のやいば。現状にあぐらをかくだけでは発展はないはずだ。学生と教員の対話の機会をつくり、価値観の違う学生同士が切磋琢磨(せっさたくま)する学部にしたい。
−専門は土壌物理学とうかがっています。
藤井 東大紛争から2年後の71年、東大に入学した。時は、高度経済成長期。田中角栄の日本列島改造論が旋風を巻き起こし、ゼネコンからは引く手あまただった。大学院へ進んだのは、卒業論文で研究の面白さに気づいたから。手抜きをした実験が思わぬ成功につながった。当時の先輩の言葉を借りれば「自然科学の女神がほほ笑んでくれた」。その経験が研究者としてのわたしの原点だ。
岩手では、水はけの良さと保水性を両立させた土壌改良材を開発した。人づくりも土づくりも根っこは同じ。すぐに芽は出なくとも、時間をかけ愛情を注げば、きっといいものになる。
【略歴】ふじい・かつみ、滋賀県出身。77年、東京大学大学院農学系研究科農業工学専攻修士課程修了。79年、東京大学農学部助手、84年、岩手大学農学部講師。88年に同助教授を経て97年、同教授。2004年から同農林環境科学科長、農業生産環境工学科長を兼任
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